パリ・カクテル・ウィーク 料理やアートのように! パリのバーテンダーたちによる新時代のミクソロジー

今パリの飲食業界では、バーテンダーたちが元気旺盛だ。フランスでミクソロジーに注目が集まるようになったのはごく近年だが、それは蒸留酒をストレートで嗜む習慣があったせいだろう。これまでくすぶっていた反動からか、その勢いは大きい。外国に旅慣れた若い世代、外国人バーマンや女性バーテンダーら、その演者たちの横顔も様々でダイナミックだ。今年1 月に開催されたパリ・カクテル・ウィークを取材し、パリのカクテルシーンの今をレポートする。

 

デモクラシー化するパリのカクテル
多種多様なミックスで、皆が楽しめるカクテルを!

第5回目のパリ・カクテル・ウィークが去る1 月18日から26日の9日間、パリ市内で開催された。今回のテーマは「Le Grand Mix ル・グラン・ミックス」。Le Grandとは、最大、最高という意だけでなく、多様性、多文化の意味合いも含んでいる。年代も性別も出身地も趣向も、異なるものの融合。つまりカクテルのデモクラシー化とも言える動きで、いかにもパリらしい発想だ。

確かに最近のパリでは、パラスホテルの高級バーから気軽なカフェ、バー、ビストロに至るまで、いろいろな場でカクテルが楽しまれるようになってきた。そのクリエーションも個性や変化に富み、使う素材もその使い方も実にさまざまだ。そしてこのカクテル・ウィークの期間中、今を時めく50 軒のバーが提携し、期間限定のオリジナルカクテルとアルコールフリーのカクテルをそれぞれ1種類ずつ創作。参加者がいくつかのバーを巡り歩いて楽しむ趣向となった。また毎日異なるアトリエやイベントも市内各所で開かれた。特に人気バーテンダーのレクチャーでカクテル造りを体験するアトリエは参加希望者が殺到した。

パリ市内にあるバーテンダーの養成学校でも一般向けの体験教室が設けられており、バーで味わうだけでなく、実際クリエーションを楽しみたいという愛好家も増えているそうだ。あらゆる角度からカクテルの注目度の高さが窺えた。

 

料理人とバーテンダーは似ている

パリで出会うバーテンダーの中には、料理人やパティシエを目指して料理学校に通っていたという人も多い。準備する内容は料理と似ている上、閉ざされた厨房にこもっているよりも、顧客と会話をしながらその場で作り上げるスタイルが性に合ったという声も聞こえてきた。

エクスぺリマンタル・グループのトップ・バーテンダーであるマキシム・ポットフェールは「素材を吟味して、手を加えて準備し、調合する点で、カクテルのクリエーションは料理人の仕事に似ている」と、語っている。フルーツやハーブ、スパイスなどの生産者もこだわり、シロップやアンフュージョンは時間をかけて料理のようにオリジナルを作る。ガストロノミ―のメッカであるパリは、地の利もあり多様で良質な素材が集まってくる。パリの新時代カクテルは“ 料理に限りなく近い” クリエーションに向かっている。

若い世代、女性の活躍の場

昨年秋に開催されたウイスキー・ライヴ・パリの調査によると、フランス人の二人に一人が日常的にカクテルを飲んでいると回答。カクテル愛好家の年齢層は、18~34歳が中心となっている。また今回のパリ・カクテル・ウィークに参加したバーテンダーの65%が、27歳未満の若い世代だ。

そして女性バーテンダーの活躍も華々しく、3分の1を占めている。料理業界では料理人の94%が男性と言われる中で、女性にとっても優勢な職場となりつつあるようだ。そして才気あふれる新世代は、好奇心旺盛だ。コニャックやアルマニャックなど、伝統的蒸留酒の産地に足を運ぶことも可能なため、生産者とのディスカッションも欠かさない。でき上がるまでに長い年月のかかる蒸留酒に思いを馳せ、仕込みに時間をかけて味わいを構築するバーテンダーも増えているようだ。(Tomoko Inoue)

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