クリュッグ 熟練の極みとその継承 KRUG ENCOUNTERS WINE EXPERTS 2019

“KRUG ENCOUNTERS WINE EXPERTS 2019”は、ル・メニル・シュール・オジェの一角にあるクロ・デュ・メニルで幕が開けられた。クリュッグが所有する壁に囲まれたその畑は、とても小さい。しかしこの中でさえミクロ・クリマが異なる6つの区画があり、25の異なるワインができるという。これが何を意味するのか。半日クリュッグで過ごして、それが精緻さにつながるのだとわかった。グランド・キュヴェからヴィンテージ、クロ・デュ・メニルに至るまでどのキュヴェも、創設者ヨーゼフ・クリュッグの哲学に基づいたアッサンブラージュにより創られた作品なのだ。

2018年と「クリュッグ グランド・キュヴェ 174th エディション」

訪れた4月末には、クリュッグで174番目となる「グランド・キュヴェ」のアッサンブラージュがすでに終了していた。これから6月にティラージュが行われるという。素晴らしい収穫だったと評価の高い2018年について、シェフ・ド・カーヴのエリック・ルベル率いる醸造チームのメンバーが説明を始めた。

8月23日、あの猛暑で知られる2003年と同じ日に収穫を開始した。1月にほぼ1年分の雨が降ったが、その後は春も夏もドライで気温の高い日が続き成長が早く進んだ。クリュッグではシャンパーニュの公式収穫開始日より2日早く始めた。実は8月初めにすでに酸が下がり始めていて心配していたのだ。ただ、15日頃からブドウの味見をし始めると、分析値では酸は低いが味はフレッシュだと気がついていた。日照に恵まれた寛容さがありながら、柑橘系のフレッシュ感も兼ね備えていた。

「昨今の気候変動の影響で以前とは収穫状況が異なる。今、最も大切だと考えていること。それは、いかに理想的な収穫をするか。1時間単位で『今!』という時にすること。そのためには人的な要因に加えて、完璧なロジスティックが整い受け入れ態勢ができていなければならない」と、エリックの右腕でワインメイキンク・ディレクターを務めるジュリー・カヴィルは言う。

2018年は正しい決定を下すために……。(中略)

精密さの重要性

(略)「……ブラック・ブックは歴史の構築であり、豊かなライブラリーだ」。過去の例を一目瞭然に見ることができるため、いつどのような状況下でどうすべきか、より的確で正確な判断ができることに加え、次世代への重要な情報伝達のツールにもなる。

OlivierKrug

オリヴィエもこう言っていた。「ヨーゼフは日記のまさに一行目に精密さが必要だと記している。まず、的確な素地から生まれた質の高い素材がなければ上質なワインは造れない。そして個々の特徴を捉え、細かな点に執着することが重要だと記している」。例えば、クロ・デュ・メニルのわずか1.84haの畑から造られる6区画の異なる25のワインは、収穫開始日も違い、アルコール度数も1度の差が出る。そして、これらから取捨選択されたワインがアッサンブラージュされる。ワインの数や量は異なれど、グランド・キュヴェでもヴィンテージでも同様の工程を経る。妥協のない精緻な仕事の積み重ね。これがクリュッグをクリュッグたらしめる由縁だと感じた。(Y. Nagoshi)

中略部分はWANDS 2019年6月号をご覧ください。
6月号は「夏のスパークリングワイン」「ビール」「チリワイン」特集です。
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