絶滅寸前だったエルバマットを研究した バローネ・ピッツィーニのテージ2

バローネ・ピッツィーニは、シルヴァーノ・ブレシャニーニの主導により、フランチャコルタで最初に有機栽培の認証を2001年に得たワイナリーとして知られている。自然を尊重する姿勢は他にも表れており、例えばドザージュは「ゴルフ」の1アイテムにしか加えていない。来年は2017年がベースワインでドザージュもSO2もゼロの、スタンダード・キュヴェの「アニマンテ」も日本でリリースされる予定。また、ベースワインが2018年になると、絶滅寸前だった在来品種エルバマットが3%加わるという。

エルバマットとは、16世紀にフランチャコルタで栽培されていた品種で、ミラノ大学のシエンツァ教授が30年前に発見していた。ミラノ大学との共同研究に8社が協力しており、そのうちバローネ・ピッツィーニでは現在栽培面積は1.8ha(フランチャコルタ全体で10ha前後)ある。「栽培方法の研究に10年を費やした」という。収穫はシャルドネより6〜8週間遅い10月で、晩熟で酸が高いのが特徴。今のところ3つのクローンが見つかっていて現在申請中のようだ。

研究2、を意味する「テージ・ドゥーエ」は2014年の収穫より。レモン的なフッレッシュな酸がとても綺麗で、クリーンでピュアな味わいだった。

 

その後、醸造と熟成の研究に入り、実際に3回造ってみた。2012年収穫の「テージ1」(エルバマット60%、シャルドネとピノ・ノワール各20%)、2014年収穫の「テージ2」(エルバマット40%、シャルドネとピノ・ノワール各30%)、2015年収穫の「テージ3」(3品種3分の1ずつ)。これらの試作(カテゴリーはヴィノ・スプマンテ・ディ・クオリタ)を踏まえ、2017年からフランチャコルタの認定品種に加わり、最大10%までブレンドしてよいことになったため、テージ4が造られることはなくなった。折しも温暖化の影響が懸念される昨今、品質を保つのに有効な品種となりそうだ。

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