「キリン一番搾り 糖質ゼロ」発売でビール再成長加速へ

キリンビールは10月6日から、日本初の糖質ゼロビール「キリン一番搾り 糖質ゼロ」を発売する。8月27日に都内で発表会を開き、布施孝之社長が「ビールが再成長するチャンス。ビールカテゴリの第二の柱に育てたい」と新商品への期待を語った。
「一番搾り 糖質ゼロ」は「一番搾り製法」による“雑味のない澄んだ麦のうまみ”と、原材料である麦芽の選定から見直してキリンビールが培ってきた仕込技術・発酵技術を進化させた新技術「新・糖質カット製法」により、国内で初めてビールカテゴリで「糖質ゼロ」を実現した。
Abv.4%、容量350ml缶、500ml缶、各オープン価格。
 布施社長は「“絞りの効いたマーケティング”の実践で10年、20年後に残るブランドを育成。中心価値となるおいしさで『一番搾り』を日本のビールの本流にする」取り組みを進め、「缶販売数量は17、18、19年と3年連続前年越え。今年も1~7月累計98%でコロナ禍でも堅調に推移している」と分析。今後は「コロナが起こす変化、酒税改正が起こす変化など様々な市場変化が予想されるなか、特に下半期は“健康志向”“ビールの再成長”に注目」し、「ニーズを捉え、ビールの魅力を広げる新価値提案を行っていく」と説明。新商品は120万ケース(大びん換算)販売予定。「一番搾り」ブランド計では年間1670万ケースの1割増、特に10~12月は4割増を目指すという。「先行商談の反応は非常に高く、まさに待たれていた商品。初動で計画を上回る手ごたえで、流れを変えていきたい。通年では『一番搾り』の1/3を〈糖質ゼロ〉で占める、ビール第二の柱に育成したい」と力強く語った。
 山形光晴常務執行役員マーケティング部長は「着目点はビールのおいしさへの高い期待と健康への強い関心」と説明。消費者調査では、お客様の好きなお酒№1がビールである一方、太りそう、糖質・カロリー・プリン体が高いなどの理由で飲用量を減らすことがわかっている。「お酒飲用者の健康意識は8割の人が持ち、近年は糖質意識が5割強に上昇。またコロナ禍において、約半数が“コロナ太り”を危惧しており、トレンドを加速させている」と分析する。糖質オフ・ゼロ系ではオフ4対ゼロ6の構成比ということもあり、「おいしいビール『一番搾り』で糖質ゼロ実現を目指した」という。
 開発を担当したキリンホールディングス飲料未来研究所の廣政あい子氏は「ビールは麦芽使用比率が高く、糖質がおいしさとアルコール生成の重要要素で、担保しながらゼロにするのが難しい。麦芽の選定から仕込技術・発酵技術の進化まで開発期間5年、通常は数十回という試験醸造を350回以上行い、開発に成功した」と話した。

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