「バトナージュの目的は、澱の攪拌によって発酵を早めることとテクスチャーの向上を図ることにあるが、同時に、バトナージュをやり過ぎるとワインの酸化熟成が進み過ぎるリスクがある。今は私は樽中では一切バトナージュは行っていない。その代わりタンクを完全に密閉し還元状態の中でワインを熟成させている。この期間は6 か月と長く、途中バルブが外れないかいつも気がかりになる」。事実、あるときはバルブ不良でタンク内1 万リットルものワインが流れ出し、大変な損害を被ったことがあるという。
ジョッシュはボーヌで栽培・醸造学を学んだ後、1999 年からオレゴンに戻りワイン造りをはじめた。当初はピノ・グリとリースリングも造っていたが、今は完全にピノとシャルドネに特化している。当初は樽が効いたキスラー・スタイルとクラシックなブルゴーニュ・スタイルのワインを見よう見まねで造っていたが、2003 年の世界的猛暑のなかで造られたシャルドネは甘くビッグでとても飲めた物ではなく、すべて捨てた。これが契機となって、美味しいシャルドネを本格的に造らなければいけないと決意したという。そして、アイリーン・ヴィンヤードのディヴィッド・レットの下で2 年間学び、新しいオレゴンのシャルドネの基本コンセプトを“ミネラル”“シトラス”“ バイタル” として、初めて「シグリッド」を造った。2006 年のことだ。
最近のコメント