創業100周年を来年に控え SAワイン産業をリードし続けるKWV

KWV の正式名称はアフリカーンス語で“Kooperatieve Wijnbouwers Vereniging Van Zuid-Afrika”(南アフリカブドウ栽培家協同組合)、頭文字をとってKWV と呼ばれている。20世紀初頭に、生産過剰で存亡の危機に晒された栽培農家を保護、救済するために設立されたワイナリーだ。以来、南アフリカワイン産業の発展をリードし続けてきたKWV は来年2018年には創業100周年を迎えるが、昨2016年にロンドンに本拠を置くVasari Group が新しいオーナーになった。Vasari は特に消費財部門にフォーカスして実績を上げている投資グループで、ワイン&ブランデー製造設備とブランド権を有する100%オーナーとしてKWV の運営に当たっている。このほど来日したチーフワインメーカーのウィム・トゥルーター、営業輸出部長のデウェット・ヒューゴ両氏に新生KWVの現況とワインづくりの方向性などについて話を聞いた。

 

有力栽培農家との緊密な連携

KWV は20 年前、協同組合から近代的な株式会社組織へと進化改組されたが、永年にわたり培われた各地の有力ブドウ栽培農家との緊密な関係は昔も今も変わっていない。長期契約に基づいてKWV にブドウを供給している農家は54軒。なかには、1959 年以来ブドウを納め続けている農家もある。これらの農家はスワートランドやダーリン、ウエリントン、ステレンボッシュ、そして新興冷涼栽培地域のウォーカーベイやエルギンなどウエスタンケープ州のほぼ全域にわたっている。

「ワインづくりは醸造の数か月間だけではなく、品質が優れたブドウそのものを厳しく選別することから始まっている。我々は品種ごとに栽培適地を選び、何百という特定の区画ごとにブドウを買い上げている。それぞれの区画の品質評価は毎年行い、品質基準を満たさなければ契約を見直している。栽培チームのスタッフが日々、目指しているワインのスタイルとそのために必要なブドウ栽培のありようについて農家と緊密な連絡を取り合っている」と、昨年までブドウ栽培のスペシャリストとして活躍していたヒューゴ氏。

また、昨年9月1日からチーフワインンメーカーに就任したトゥルーター氏は、「KWV は革新的であり続けることに常に意を払っており、新しい品種と、その品種にふさわしい新しいブドウ栽培地を見いだすことにおいてパイオニア的な存在だ。産地と品種との関係を正しく理解し、それをきちんと表現した最高品質のワインをつくることを目指している」という。

 

ピノタージュとKWVとの切っても切れない関係

南アフリカの固有品種ピノタージュの産みの親、アブラハム・ペロード教授はKWVの草創期に13年間にわたり専属エノロジストを務めていた。このように、KWVはピノタージュと切っても切れない関係にある。過去10 年~15年間、ピノタージュは劇的な進化を遂げ、様々なスタイルのワインがつくられるようになってきた。KWVでは、凝縮した黒系果実の風味に富むこの品種のタンニンを過度に抽出しすぎないように配慮しながら、低温で発酵。果実の風味とソフトなタンニン、そして余韻の長い味わいを引き出している。こうしたピノタージュのスタイルはケープ・ルージュやクラシック・コレクション、カフェ・カルチャーなどKWVの様々なティアのワインに共通したもので、ペロード教授へのオマージュとして造られるマルチヴァラエタルブレンドのフラッグシップワイン「Perold Tributum 2013」にも生かされている。

一方、南アフリカで最も多く栽培されている品種といえば白葡萄のシュナンブランだ。今でも樹齢35年を超えるブッシュヴァインの古木が各地に残っている。「ライチやストーンフルーツの香りは、昨日初めて飲んだ日本酒にも共通するもので、様々な日本食との相性が良いことを発見した。さらに加えて、シュナンブランは日本酒よりもアルコール度数が低いので、女性を含めて日本人の嗜好にはピッタリ合うのではないだろうか」と、トゥルーター氏。

さらに、ポテンシャルの高さにおいていま最も注目している品種は何か?と問うと、それはプティ・ヴェルドとグルナッシュ・ブランだという。プティ・ヴェルドはブレンド用の補助品種としてみられがちだが、よく熟した葡萄からは果実の風味が豊かで凝縮した味わいのワインができる。KWV はクラッシックレンジと、小仕込みした沢山のキュヴェのなかから最良のキュヴェを選んで造るフラッグシップワイン「メントーズ」シリーズのなかで、単一品種ワインをつくっている数少ないワイナリーだ。白葡萄のグルナッシュ・ブランも同様で、バランスに優れ、PH も低く、長く熟成可能なワインができる。KWV はグルナッシュ・ブランで単一品種ワインをつくっている南アフリカ唯一のワイナリーだという。これらのワインはいずれ日本市場にも登場するかも知れない。楽しみだ。

 

日本を含むアジア市場にフォーカス

KWV は輸出の分野でも、南アフリカワイン産業のリーダー的存在。生産量の65%は世界100か国以上に輸出されている。最大の市場はスカンジナビア諸国とドイツなどだが、いまフォーカスしているのが南アフリカ国内とアジア市場だという。

「国分がKWV のワインを54年もの長きにわたり輸入し続けてくれていることは、大変栄誉なことだ。しかし、日本のワイン市場では厳しい競争があることも十分に理解している。日本の消費者が南アフリカワインをもっと飲み慣れ、ひとつのカテゴリとして確立されていく中で、KWVが南アフリカNo.1 のワイナリーであり、価格性能比の高いワインを提供していることを理解していただけるようにしていきたい」。  (M.Yoshino)

トップ画像:ウィム・トゥルーター氏(左)とデウェット・ヒューゴ氏

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