シチリア・アン・プリムール 2018 Sicilia en Primeur 2018

今年で第15回目となるシチリア・アン・プリムールが、アッソヴィーニ・シチリアにより5月初旬に開催され、22か国から約100名のジャーナリストが参加した。53ワイナリーが450銘柄を提供し、シチリアワインの現状を披露した。前半はグループにわかれて産地訪問し、後半はパレルモに集結し、生産者ブースでの試飲、ソムリエによるサーヴィスでのブラインド試飲、各国から招かれた5名のマスター・オブ・ワインによるマスタークラスなどで情報を取れる仕組みだ。特に印象に残った項目と訪問したワインリーについてレポートする。

 

コンフェレンス

主催者であるアッソヴィーニ・シチリアの会長を務めるアレッシオ・プラネタがコンフェレンスの冒頭で「70年代はワインで溢れかえり売れ残っていた。しかし今は違う。ここ20年でシチリアは生まれ変わった。マウリツィオ・ジリが率いるチームのリサーチから5つを選んで展示してある。ここ20年で何を行ってきたのか見てほしい」と挨拶した。

パレルモ市長のレオルカ・オルランドは、パレルモからマフィアを一掃したこと、シチリアのワインはヨーロッパのワインというよりは地中海のワインであることを強調した。

シチリアワイン統制委員会会長のアントニオ・ラッロは、シチリアワインの現状について以下のように説明した。シチリアDOCは、シチリア全域を統括し世界にシチリアワインの名声を発信するためにつくられた。シチリアのブドウ畑の面積はニュージーランドの3倍、ドイツと南アフリカとほぼ同等。2017年で21,437haで、2016から倍増した。ワイナリーは200社以上で、ブドウ栽培者は7,295名だ。2017年の生産は3,000万本だが、2018年には6,000万本になると見込んでいる。シチリアDOCで出荷されたボトルは2017年で2,947万本強で、認定以来増え続けている。またグリッリョは2017年に販売された本数が前年比23%アップと勢いづいている。

 

醸造家のマッティア・フィリッピによるシチリアの2017年ヴィンテージ解説

今までで最も暑い年の6指に入る(2015, 2014, 2003, 2016, 2007, 2017)。また、成長期の150日間に雨が極小だったことも特筆に値する。世界的にも生産量が少ない年で、世界では例年のー8%、欧州はー13%、イタリア全体で―22%だが、シチリアではー25%となった。

夏は熱波からブドウを守るためにキャノピーに工夫が必要だった。特に収穫が早い品種が夏の暑さの影響を大きく受けた。例えばシャルドネは2016年より1週間早い収穫だった。しかし遅めの赤用品種はかえって果皮と種とのバランスがとれた。白品種でもグリッリョは8月の暑さで糖分が上昇したにも関わらず酸を保つことができ、その上アロマティックなブドウが得られた。カタラットは収穫が4週間も早まったが、古木は酸を保てた。ネロ・ダーヴォラは、8月の暑さでリンゴ酸は減少したがブドウが凝縮することにより酒石酸が増えることになり、途中から総酸度が上がるという現象がみられた(ひと房あたりの重量は前年比22%となったが)。エトナ北部は標高が高いため暑さの問題はなく、9月まではなかった雨が10月に降って恵となった。

概して伝統的な在来品種の出来がとてもよくそれぞれの特徴が際立った年であり、健全なブドウが収穫できフェノールの成熟も申し分なかった。そして、エトナの結果が最も素晴らしかった。

 

 

農学者マウリツィオ・ジリのチームによるリサーチ

「シチリア畑の遺伝子多様性」

代表者:ガブリエッラ・デ・ロレンツィス

ミラノ大学のガブリエッラ・デ・ロレンツィスらが、パレルモ大学やカラブリア大学と共に行った研究で、2009年に少量の品種から始め徐々に研究範囲を広げていった。

紀元前9〜8世紀頃にギリシャ人がブドウ栽培技術を、多様な植物生態系が存在する南イタリアとシチリア島に持ち込んだ。その結果、特にシチリアでは品種間と品種ないでの遺伝子の多様性が大変豊かになった。実際に、同じグループ内でも遺伝子的に異なる品種が多く存在し、例えば全域に広がるネロ・ダーヴォラ、ネレッロ・カプッチョ、ジビッボ、例えば特定の地域のみのアルバネッロ、ビアンカ、リエヴソ、ヴィスパローラなどがあげられる。品種内の形態的多様性もジビッボの白と黒、のように確認されている。いずれにせよギリシャと南イタリアとの関係性は強く、ギリシャからもたらされた品種が順化された場所だと言える。

その他のテーマ:

「シチリア古代品種の復活、保存、安定化」

「シチリアでの酵母密度に関する考察、新系統選抜によるワイン品質向上」

「マルサラ・ヴェルジネDOCの市場への再投入に関する考察」

「モンテ・クロニオで発見された先史時代の陶器に残る有機的の確認」

 

マスタークラス

「グリッリョ 1874 」by ロビン・キックMW

グリッリョは、DNA鑑定でカタラット・ビアンコとジビッボ(マスカット・オブ・アレキサンドリア)の交配品種だとわかっている。農学者のバロン・アントニオ・メンドーラが1869年に交配し、1874年に初めて生まれた。通常、種がひとつだけしかできないことから種を意味するGrilliから命名された。また、同じ人物により交配された南仏のモスカート・チェルレッティと兄弟関係になるとも判明している。そして、リグーリアにも存在している。

フィロキセラの後、カタラットより耐性の強いグリッリョがシチリア北西部のトラパニ周辺に多く植樹されたが、次第に生産量が重視されることになり、比較的収穫量の低いグリッリョは廃れていった。

グリッリョは昔はほぼマルサラのために栽培されていた品種だったが、1990年にマルコ・デ・バルトリが初めて辛口白ワインに仕立てた。マルサラの需要が減少を続け、何か手立てを取る必要に迫られたこと。(中略)

バイオタイプAと Bが存在することがわかっている。バイオタイプAは、セレクション・マッサールにより選抜されたもの。

A:新しいタイプ。房がコンパクト。グレープフルーツなどソーヴィニヨン・ブランに似た香り。酸が高くフレッシュでより長期熟成可能。辛口ワイン向き。

B:古いタイプ。疎着。トロピカルフルーツや蜂蜜の香り。まろやかな口当たりでアルコール度数が高め。マルサラ向き。

試飲アイテムの中でバイオタイプが明らかだったもの……(中略)。

 

フラッパート

今回ブラインド試飲したフラッパートの中で、特に印象に残ったアイテムのブースを訪ねて話を聞いた。

Baglio di Pianetto(略)

Feudi del Pisciotto(略)

 

シチリア南東部 生産者巡り

今年は、シチリア東部のカターニャ空港に降り立ち、海岸沿いに南へ降りてメリッリ、ノート、そして西へ向かいヴィットリア周辺を巡った。訪問先は以下の通り。

ヴィンディング・モンテカッルーボ Vinding Montecarrubo

フェウド・マッカリ Feudo Maccari

ジゾラ Zizola

グルフィ Gulfi

コス COS

テッレ・ディ・ギュルフォ Terre di Giurfo

ヴァッレ・デッラカーテ Valle Dell’Acate

(Y. Nagoshi)

取材協力:Assovini Sicilia

つづきはWANDS 2018年9月号をご覧ください。
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