仏コニャック「カミュ」プロデュース Lambay Whiskeyの世界

ベアリング家とカミュ家の繋がり

「皆さんをランベイ島へお連れします」。グローバルブランドマネージャーのサビーヌ・シーハン女史の挨拶とともにその映像は、海岸線に建つひとつの樽貯蔵庫と、海岸を舞い飛ぶ多くのパフィン、島全体に広がる森と芝、そしてそこを駆け回るワラビーや飛び立つ鳥たちの美しさを映し出していた。ランベイ島はアイルランドの首都ダブリンから約3km沖合に浮かぶ2.5平方キロメートルの小さな、第7代アレクサンダー・ベアリング卿が個人所有している島だ。ベアリング家は現在も爵位が与えられているイギリスの名門貴族で、1762年創業のベアリングス銀行を擁し財閥として名を馳せていた。あの、ボルドーの1級シャトーらを所有するロスチャイルド家と双璧をなしていたという。

そしてランベイウイスキーには欠かせないもう一つの家系、カミュ家。1863年から5世代にわたりコニャックを造り続けており、家族経営のコニャックメーカーの中では最大手である。「両家は豊かな自然への愛や起業家としての精神、継ぐものの系譜であることなど共有することの多さから家族ぐるみで長い付き合いがあります。ベアリング家が島で造るウイスキーの魅力に気づき、そこに100年を超え受け継がれてきたカミュ家の蒸留とブレンディングの技術が重なり、ランベイウイスキーは生まれました」。

 

急成長のアイリッシュウイスキー

アイリッシュウイスキーの歴史は6世紀にまで遡る。1900年ごろには街ごとに蒸留所が置かれ、300軒以上の蒸留所で1000万本以上が生産されていた。一時期は世界の6割のシェアを占めていたという。しかし20世紀初めから不遇な時代がやってきた。理由は消費者の嗜好の変化、1920年に始まったアメリカ禁酒法により重要な輸出先を失ったこと、さらに内戦や1930年代のイギリスからの独立によって英国市場を失ったことで蒸溜所は減り続け、2010年には国内にわずか3軒のみとなった。

しかし現在、IWSR*のレポートによるとアイリッシュウイスキーは今世界で最も成長している蒸留酒だ。2017年の売り上げは970万ケースを超えたそうだ。1分間に200本以上が売られている計算となる。2017年の売り上は前年比10.6%上昇、2020年には1200万ケースを超えるだろうと予想されている。2018年現在、アイルランド国内で12軒の蒸留所が建ち、さらに2020年には28軒になる見込みだという。今後国内では10年で10億円以上の投資が行われる予定だ。

*International Wine and Spirits Research

自然の恵みとカミュの熟成技術

島にはウイスキー造りに適した気候風土が揃っている。セミナーのあった7月30日の島の日中気温は18℃だった。夏の時期は平均16〜20℃で、雨がよく降り湿度も高い。冬の時期でも海洋性の気候のため日中は5〜6℃、非常に寒い時でマイナス1℃、湿度は夏と変わらず高めだ。年間の温度差がそれほど大きくなく、湿度もあるためにゆっくりとマイルドにウイスキーは熟成する。(Rie Matsuki)

つづきはWANDS 2018年9月号をご覧ください。
9月号は「2018秋冬のワイン需要を探る」「イタリアワイン」特集です。
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