「新鶴」45年の歩み シャトー・メルシャンの「はじめにブドウありき」を具現化した産地

薬用人参の栽培地として有名だった福島県大沼郡会津美里町の新鶴地区で、本格的なシャルドネの栽培が始まったのは、1975年のことだった。それから45年が経過した。

 

シャトー・メルシャンのシャルドネは、栽培地ごとに固有の個性を備えている。中でも「新鶴 シャルドネ」は、昔から光沢を感じるようなハリのある果実のピュアな香りが特徴的だと感じていた。新鶴でのシャルドネの栽培が45年前から行われていたことに加え、それ以前は薬用人参が専門の産地だったことは、それほど知られていないかもしれない。今年3月に45年の歩みを振り返るセッションがインスタグラムで行われた。

案内役は、シャトー・メルシャン 勝沼ワイナリー長の田村隆幸氏、同・弦間浩一氏、同・ワインメーカーの高瀬秀樹氏で、大変アットホームな楽しい内容だった。

会津盆地の新鶴地区(当時は新鶴村)は、かつて盛んだった薬用人参の栽培が衰退し、その休耕地利用の課題を抱えていた。そこで、縁のあるメルシャンにブドウ栽培へシフトできないかと相談が持ちかけられたという。標高225〜250mにあり、日当たりよく、水はけよい丘陵地にあり、日較差が大きい内陸性気候に恵まれたが、収穫直前の秋雨には悩まされていた。

ターニングポイントとなったのは1998年。かつて薬用人参に用いていた遮光の設備を雨よけに利用した栽培家が現れたこと。雨よけを設置した畑のシャルドネは、病気も少なく糖度が20度を超えたことから、雨よけ設備は5年以内に皆に広まった。

収穫は通常9月下旬から10月上旬に行われ、適した熟度で収穫できるようになった。

契約農家10名の写真を見ながら「50周年は盛大に祝いたい!」と、弦間氏。

2001年が初ヴィンテージとなった「シャトー・メルシャン 新鶴シャルドネ」は、温かい地方のシャルドネに感じられるパイナップルのような香りが特徴だと言う。

シャトー・メルシャンの他の銘柄と比べると、こうなる。

「新鶴」は標高240mで棚式栽培:特徴はトロピカルな香り

「北信」は標高300〜600mで垣根式栽培:特徴は柑橘の香りとミネラル

「椀子」は標高650mで垣根式栽培:特徴はアプリコットの香りとミネラル

 

また、新鶴では新たなチャレンジが始まっている。スペインやポルトガル北部で栽培されている白品種、アルバリーニョの栽培だ。まだ0.07haしかないので数量限定ではあるが、2017年から「シャトー・メルシャン 新鶴アルバリーニョ」が発売されている。「華やかな香り 白桃の香りが特徴、パイナップルやトロピカルフルーツの香りも加わり、酸も豊かなので期待してほしい」。

その他に、東北でしか買えない「会津美里シャルドネ」にも新鶴のブドウが使われている。シャルドネと甲州のブレンドの「シャトー・メルシャン萌黄」は、30%が新鶴のシャルドネ。なのだそうだ。50周年の時にどのようなラインナップになっているのか、楽しみだ。(Y. Nagoshi)

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