品質とテロワールを理解する人のためのシャンパーニュ「ジャクソン」のシケ氏来日

ジャクソン瓶

<試飲したCuvée #700シリーズ>

ここ10年でリザーヴワインのコンセプトを180度変えた。通常のシャンパーニュのNVを造る際は、たくさんの個性豊かなリザーヴワインが必要になる。しかし、ジャクソンではリザーヴワインは、目的が異なる。ヴィンテージの特徴を隠すためではなく複雑性を出すため。だから、分けて置いておくのではなく、ブレンドしたものを大きなタンクに入れて寝かしておく。前のキュヴェをとっておく、という方法。例えば、#742=2014年ベースには、#735から遡ったものを入れる。

Cuvée #736 (参考商品)2008年ベース。「ここ18年間でも最も素晴らしい年。収穫の3週間前までは天候がよくなかったが、その後4、5週間ほど日較差が大きく、乾燥して、風もあった。96年に似ている。熟しているが酸も高い」。複雑な香り。トースト、柑橘類のピール、ミツ、干しリンゴ。なめらかな舌触りで、酸もきれい。秀逸なバランス。

Cuvée #737 (参考商品)2009年ベース。「温かく乾燥した年。日照量が多かった89年に似ている」。トースト、スパイスなど厚みのある香り。まろやかなアタックで、ぶどうの熟度の高さを感じさせる。まるく厚い。

ジャクソンは裏ラベルに詳細が記されている

ジャクソンは裏ラベルに詳細が記されている

Cuvée #738 2010年ベース。「ブルゴーニュはよいが、シャンパーニュにはよくなかった。収穫前まで雨が降り、ピノ・ノワールにはボトリティスも発生。よってシャルドネが主体=61%となった」。上品な香り。香りも味わいも味タイトで、キリッとし、ミネラル感が豊か。若々しい。

Cuvée #734 (参考商品)2006年ベース。2010年4月デゴルジュマン。スモーキーな香り。まろやかな食感で、甘味さえ感じるほど。まだ、果実にもフレッシュさが残る。1時間ほど置いておくと、淡白な味わいに。

Cuvée #734 DT DT=Dégorgement Tardif。2006年ベース。2014年10月デゴルジュマン。長期シュール・リーをしたもの。「僕たち兄弟は、こちらのほうが好み」。トースティーで、柑橘類ノピールなどドライフルーツの香り。口中でもふっくらし、複雑な香りが広がる。1時間ほど置いておくと、こちらのほうがぐっと味わい深くなり、驚いた。

 

<単一畑ヴィンテージ>

Dizy Corne Bautray 2004 (参考商品)南西向きの急斜面。1960年植樹。シャルドネ100%。「変わった年だった。量がとれた年で、房の数は調整できても大きさはできなかった」。洋梨、ナッツ、キャラメル、トーストの香り。口中はとてもなめらかで、ソフト。ドザージュなしとは思えない。

Dizy Corne Bautray 2005 「正確性がありパンチがあり、男性的。04年はなめらかで繊細で、女性的」。オレンジゼスト的な力のある香り。スパイシーさも。ふくよかさも感じるが、酸もしっかり支えている。

Avize Champ Cain 2004 (参考商品)南向きの平地。1962年植樹。シャルドネ100%。よりミネラルが強く、桃やリンゴなど、少し火を入れた果実の香り。なめらかな口当たり。

Avize Champ Cain 2005 熟した黄色い果実、トースト、スパイスなど豊かな香り。より厚みがありふくよか。秀逸なバランス。

Aÿ Vauzelle Terme 2004 (参考商品)南向き斜面。1980年植樹。ピノ・ノワール100%。ラズベリー、白桃のピュアな果汁を思わせるきれいな香り。なめらかなアタックで、厚みもある。心地よいバランス。ふくよか。

Aÿ Vauzelle Terme 2005 香りは閉じているが、かっちりとした、バランスよい香り。エレガントでバランス味わい。赤いリンゴ、スモモ系の香りが口中で広がる。これから。

Vintage Rosé 1997 (参考商品)自社畑の古樹のピノ・ノワールに、アイのピノ・ノワール、アイのシャルドネをブレンド。「ブレンドしたロゼは、ワインになった時に、ロゼの個性が出てこない。2003年からマセレーションも行ったが、今度は個性は出るがチャーミングになり過ぎた。だから今は、マセレーションとブレンドを半々にしている」。熟成した香りで、なめし革やスパイスが感じられる。味わいも練れていてなめらか。

Dizy Les Terres Rouges Rosé 2008 1993年植樹の自社畑のピノ・ノワール。2007年よりピノ・ノワール100%に。赤い果実、エキゾチックフルーツ、スパイスのパンチの効いた香り。トースティーさも。味わいもしっかり、厚みがある。

(Y.Nagoshi)

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