魅惑のオルネッライア その1:熟成

ボルゲリ地区を代表するワインのひとつであり、時にはスーパータスカンとも呼ばれる「オルネッライア」の最新ヴィンテージは2018年。バランス良いヴィンテージで最高醸造責任者のアクセル・ハインツにより「ラ・グラツィア(優美)」と命名された。実に上品で複雑で洗練された味わい。何年かワインセラーで取っておきたい気もするが、今からでも楽しめる。

実際にオルネッライアはどのように熟成するのか試せる機会はそれほど多くないが、今回は「資生堂パーラー ザ・ハラジュク」で大事に保管されてきた2005年(FARO時代からのストック)と比較することができた。

 

2005年は、オルネッライアの初ヴィンテージ1985年からちょうど20周年の記念すべき年であることに加えて、マルケージ・デ・フレスコバルディ一族がテヌータ・デッレ・オルネライアの100%オーナーになった年でもある。創設者ロドヴィコ・アンティノリから請われて1997年から経営実務に関わり始め、1999年にCEOに就任したジョヴァンニ・ゲッデス・ダ・フィリカーヤ氏による改革に拍車がかかり始めたタイミングでもある。

2005年の香りは開いていて、スパイスやゲイミーさが感じられ、少しドライになり始めた果実など複雑で優美。穏やかな口当たりで、一体感のある味わい。そして余韻に複雑な香りが長く残る。やはり若い時だけでなく、熟成を経てさらに魅惑的になる偉大なワインであるとわかる。

日本で最もオルネッライアに詳しい人のひとりである店長の本多康志氏は、2018年と2005年に資生堂パーラーが誇る伝統の一品、コンソメスープを勧めてくれた。赤ワインにコンソメスープ? と、少し驚いた。しかしちょうど2005年の複雑さと練れた味わいが、様々な素材の旨みを詰め込んだコンソメスープのバランス、そして比重にぴったり。素晴らしいマリアージュだった。(Y. Nagoshi)

魅惑のオルネッライア その2:白、甘口、グラッパ

WANDSメルマガ登録

関連記事

ページ上部へ戻る