- 2022-1-6
- Wines, ポルトガル Portugal
ポルトガル投資貿易振興庁(AICEP)とポルトガルワイン試飲会実行委員会は、12月1日、ハイエンドなポルトガルワインのクオリティを訴求する、プレミアムポルトガルワイン試飲会を開催した。
日本へのポルトガルワインの輸入量は順調に伸長しているものの、その大半を占めているのが低価格帯で、ハイエンドな価格帯の認知が未だ進んでいるとは言えない状況だ。このクラスの訴求のため、報道関係者やソムリエなど業界のインフルエンサー約50名を限定招致、日本に輸入されているポルトガルを代表するプレミアムワイン20アイテムを紹介した。一般的な試飲商談会というより意見交換の場としても機能させたいという考えから、インポーターも来場の対象とした。
会場では、ポルトガルワイン試飲会実行委員会の別府岳則氏がブースに立ち、来場者の求めに応じて各生産者や生産地、アイテムの特性を詳説した。別府氏は、ポルトガルワインの高価格なものこそ今注目して貰いたい、と語る。氏によれば、ポルトガルでは「高樹齢」「混植」「土着品種」「アンフォラ」などのキーワードを生かしつつ、インターナショナルに受け容れられる品質の高いワインが生まれている。ラインナップは、ポルトガルを代表する高級ワイン産地であるドウロの多様性や可能性について伝えることを重視し、20アイテムのうち、11アイテムがドウロから。他には、ヴィーニョ・ヴェルデとアレンテージョが3アイテムずつ、トラス・オス・モンテス、ダン、バイラーダ1アイテムずつという構成だった。生産者やインポーターが売りたいものを出展する形式の商談会ではなく、主催者側が紹介したいものを揃え、価格は4,500円から40,200円までのラインナップとなった。
複数のブドウ品種から造られた軽快で爽やかなイメージのあるヴィーニョ・ヴェルデだが、単一品種の個性を際立たせた造りのものもある。
キンタ・ド・アメアルのヴィーニョ・ヴェルデ、エスコーリャ2017は、ロウレイロ100%。ロウレイロ種の故郷として知られるリマ渓谷の厳選された2つの畑の区画のブドウを使用。フレンチオーク樽で発酵・熟成し、1年の瓶熟成を経てリリース。
マルシオ・ロペスのヴィーニョ・ヴェルデ、ペケーノス・レベントス エディシオン2017は、土着品種アザール100%。木を伝って成長し、高い位置に生ったブドウを梯子を使って収穫、足踏み粉砕したのち自然酵母でアンフォラ発酵させ、ニュートラルオークで熟成させる独特の製法だ。
ポルトガルブティックワイナリーは、絶滅しそうなブドウを探しては、ポルトガルの遺産として残すワイン造りをしている。ゴブレ・ホワイト2016は、トラス・オス・モンテスの標高600mの高原の数十種類のポルトガル原産種をフィールドブレンドしたもの。
ポートの名手であり、ドウロ・ボーイズの一員として知られるニーポートからの好対照をなす2アイテム。パトゥータ2013は、平均樹齢70年と100年を越す2つの畑のブドウを使用し、ステンレスタンクとラガールで発酵、樽熟成。黒い果実の濃厚さとタンニンの緻密さがありながら重たさは感じられない。シャンベルタンからのインスパイアにより名づけられたシャルム2016は、標高の高い平均樹齢70年以上の畑のブドウを足踏み破砕し、全房のままラガールで発酵。フルーティで柔らかくエレガント。
ドウロ・ボーイズからもうひとつ、キンタ・ド・クラストのヴィーニャ・マリア・テレサ2017。樹齢100年にも及ぶ50品種以上の混植の単一区画からのブドウを選果台で丁寧に選別し、伝統的な石でできたラガーレスで足踏み破砕した後、ステンレスタンクで発酵。フレンチオーク90%アメリカンオーク10%の新樽で熟成。希望小売価格40,200円と別格だが、高いバーカーポイント獲得歴が示すとおり、古木・低収量ならではの果実の凝縮感と複雑味が際立つ。
ルイス・パトのキンタ・ド・リベイリーニョ ペ・フランコ2015は、フィロキセラの影響が少ない砂土壌で自根栽培したバイラーダの伝統品種のバガを使用したもの。ペ・フランコは直訳すると自由な足の意で、アメリカの台木からの解放を表した名称。房が小さく果皮が厚いため、1本の木からグラス1杯分の果汁しか取れない希少品。緻密で深みがあるが、ミンティで洗練された気品もある。
来場者からは、ポルトガルらしいオリジナリティがあり、品質が高く十分価格競争力があるというコメントが多かったという。ペアリングで使いたいという声も上がった。
AICEPからは、来年以降はフードペアリングについても伝えられるような企画もしたい、という話も出ている。
(Saori Kondo)
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