[後編]日本ワインの未来を見据えて サントリーワインカンパニー

やまなし4パーミル・イニシアチブ果樹園で地球温暖化対策

気象データの蓄積も行っており、24時間いつでもスマートフォンでチェックできる。

山梨県は2020年4月から「4パーミル・イニシアチブ」に参加した。日本の都道府県としては初参加となった。
「山梨県は果樹栽培が多いため、果樹園で地球温暖化対策ができないかと考えた結果です。高温障害を感じる農家が増え、品種改良も可能ながら根本的な対策をできれば」と、農業技術課の新技術推進監の長坂克彦氏は言う。これは、世界の土壌の表層の炭素量を年間0.4%(4パーミル)増加させれば、人間の経済活動によって増加する大気中の二酸化炭素を実質ゼロにできる、という考え方に基づく国際的な取り組みだ。果樹園では、堆肥など有機物を土壌に入れること、草生栽培や緑肥を行うこと、剪定枝を燃やすのではなくチップ化や堆肥化、あるいは炭化させて土中に埋めることが有効な方法となる。
山梨県は、この取り組みの重要性や実践方法への理解を深め普及させるため、JA営農指導員や生産者に対する研修会や実演会を開催。農業系の高校でも特別授業を行っていると言う。また、「やまなし4パーミル・イニシアチブ農産物等認証制度」も制定した。取組(計画)を認証する「エフォート」と、実績(成果)を認証する「アチーブメント」の2段階の基準が設けられた。認証を得た場合には、農産物に認証シールを貼付して販売できる。今年8月現在で、エフォート認証者は79、アチーブメントは4。サントリーはすでに2か所の圃場でエフォートを得ており、今後アチーブメントへステップアップしたいと考えている。
ワイン用ブドウ栽培が活発になることで、地域が活気に溢れていく。行政、大学、企業、地域それぞれが同じ方向を目指して進み、ともに成長していこうという気運が流れている。この一体感がワイン産地形成や維持に必要なのだと感じた。

左:4パーミル・イニシアチブを含めSDGsにも貢献していく姿勢を表したロゴマーク。右:「やまなし4パーミル・イニシアチブ農産物」に認証されると、このロゴマークのシールを貼付して産物を販売できる。

畑の周りには森と沢がある。山猿などによる被害防止のため電柵を設置した。

 

問い合わせ
サントリーお客様センター
0120-139-380
https://www.suntory.co.jp/customer/

 

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