ソアーヴェワイン・プレゼンテーション・ディナー  江戸の味、天麩羅と味わう

ソアーヴェワイン保護協会は、江戸の料理を代表する天麩羅と寿司を中心にオリジナル創作和食を供する神田明神下みやびにて、2022年の活動報告会を兼ねたディナーを実施した。

運営したSOLOITALIAの林茂氏は、ソアーヴェの産地の概要からワインの特性などを解説し、「ソアーヴェは年間56,000万本と、イタリアで最も多く生産されている白ワイン。多様な土壌から産まれるクリュごとの特性を反映したワインは、スパークリング含め辛口から甘口まで味わいも幅広く、和食との相性では筆頭に立つ。」と、コースと合わせて楽しむ期待感を掻き立てた。

 

ワインはコースの進行に合わせて下記番号順に供されたが、定められたペアリングはなかった。教科書的な説明をする勉強会にはしたくないとの林氏の意図によるもの。参加者各人が自身の好みで天ぷら用の塩や黒七味などを使って調味し、好きなように組み合わせて相性を探求した。

 

①“セッテンブリーノ”ソアーヴェ・スプマンテ・ミレジマートDOC 2021

〈レ・バッティステッレ〉輸入:メイワ

2019年に輸入元が、このキャンペーン用にタンク1本買う約束で造ったもの。派手なプロセッコの陰に隠れて売りにくいと思い、上代3000円で仕上がりそうなところ2500円で交渉。3年かけて売るつもりでいたら、初年度は1週間で完売した人気アイテム。

 

②“デューカ・デル・フラッシノ” ソアーヴェ・クラッシコDOC 2020

〈カンティーナ・ディ・ソアーヴェ〉輸入:高瀬物産

玄武岩土壌からのミネラル感の強い辛口。時間の経過に伴い、塩味が際立つ。

 

③ソアーヴェDOC 2021

〈ジャンニ・テッサーリ〉輸入:アズマコーポレーション

赤土から黒土の間くらいの土壌で、ミネラルたっぷり。最も辛口で、時間が経つと柑橘のフレーバーが展開する。

 

④“ヴィカリオ” ソアーヴェ・クラッシコDOC 2021

〈カンティーナ・ディ・モンテフォルテ〉輸入:ピーロートジャパン

エルダーフラワーやメロンなど柔らかなフレーバー。樽由来の要素がクリーミーな印象を与える。

 

⑤“スカレッテ” ソアーヴェ・クラッシコDOC 2021

〈ジャンニ・テッサーリ〉輸入:パンタレイ

トレッビアーノ・ディ・ソアーヴェ10%だが、リースリングのような白い花系の芳香の高さは果皮の厚いガルガーネガに由来。寒暖差の大きな瘦せた岩地が魅力を引き出す。

 

⑥“モンテ・チェリアーニ”ソアーヴェDOC 2019

〈テヌータ・サンアントニオ〉輸入:モトックス

石灰質土壌と火山性土壌の両方の要素を持つ。ミネラル感より柑橘系のシャープな酸味が前面に出て、揚げ物に合う。前者がオイリーなリースリング系なら、こちらはシャプリ系、甘みがないので、食べ物の脂をスッキリ切ってくれる。

 

⑦“ネッターレ・ディ・バッコ”レチョート・ディ・ソアーヴェDOCG 2019

〈モンテ・トンド〉輸入:イタショク

石灰質土壌の南向き斜面に植えられた樹齢60~70年のブドウを酸を残すため9月初旬に手摘みで収穫。4か月の陰干しの後、ステンレスタンクで発酵、フランス産とスラヴォニア産のトノーで10か月熟成。新樽10%、2~5年樽90%。レチョートらしい強い甘みと粘性がありながら、ガルガーネガの持つ酸味と苦味が、ソアーヴェらしさを打ち出している。

 

〈鱈白子〉茶碗蒸し、ポン酢餡、紅葉卸、芽葱長野産銀杏、千切牛蒡揚げ

スプマンテ①のクリーミーな泡とふんわりした白子の食感がマッチ。

 

 

 

〈除月八寸〉佐渡の岩もずく酢、大和芋、いくら、エシャレットもろ味噌、北海道鱈白子ポン酢、静岡産海老芋シルキー香煎揚、甘海老紅葉和え

  • ①~③と合わせる。デューカ・デル・フラッシノ②は海老芋のようなシンプルな味付けのものに。もずく酢やポン酢と合うのはジャンニ・テッサーリのソアーヴェDOC③。

 

 

〈名古屋コーチン〉お凌ぎ焼き手羽、聖護院大根、振り柚子

皮の香ばしさ、肉のジューシーな脂の旨みには、充分な酸味と厚みのあるボディのモンテ・チェリアーニ⑥を。大根とは、時間を経て柑橘フレーバーが開いてきたジャンニ・テッサーリのソアーヴェDOC③が良いバランス。

 

〈天麩羅〉天草の巻海老、大黒しめじ

少しだけ塩を付けて海老本来の甘みを味わう。少し時間を置いて塩気のニュアンスの出たデューカ・デル・フラッシノ②と絶妙に合う。

 

 

 

〈天麩羅〉秋田の甘鯛、加賀蓮根、松笠揚げ

サクサクした皮の食感と身との間の旨みのある脂を、モンテ・チェリアーニ⑥のカッチリした酸味が心地よく切ってくれる。

 

〈天麩羅〉北海道帆立、伏見唐辛子

スカレッテ⑤のリースリングのようなフレーバーとオイリーな口当たりとホタテの甘みとよくバランスする。

 

 

 

〈ばらちらし〉鮪、白身、穴子、海老 他

バラエティに富んだ具材が載るチラシに④~⑥を合わせる。全てをひとつのワインで通すとしたら、軽い樽使いにより個性が和らげられたヴィカリオ④。

 

〈ドルチェ〉新潟産ル・レクチェ、バニラジェラート、キャラメルソース

黄金色に輝くレチョート⑦と共に。柔らかく甘い洋梨との調和はもとより、ワインの甘みに潜む軽い苦味が、キャラメルソースと合う。

 

 

林氏のイタリアでのキャリアは、ミラノで和食店の支配人として勤務したことから始まる。なので、一個人として、和食と合わせたかったと言う。食事の終わりに「ソアーヴェには毎年足を運んでおり、思い入れがある。イタリアの1生産地でしかないけれど、ミネラル感と柑橘系のフレーバーにおいては随一。特に揚げ物に合ういいワインだということを体感して頂きたかった」と、天麩羅と合わせた理由を述べた。

7月15日~8月末まで実施したソアーヴェのバイザグラスキャンペーンは、コロナ禍で中止した昨年を経て今年で9回目。全国から参加した355店舗が、13生産者、14インポーターからの対象ワインを販売し、その売り上げ総数は11,976本に達した。①最多本数を販売した店舗②最大総額の店舗③席数当たり最多本数を販売した店舗④イタリアン以外で最多本数を販売した店舗の4つの部門のトップ5が発表された。各カテゴリー、過去に受賞歴のない店舗が選ばれ、本年度1週間の研修旅行に招待される。選ばれた店舗は、①パスタ・パスタ(福岡)②トリアンゴロ(大分)③キッチン・ビッション(京都)④カモシヤ(愛知)

(Saori Kondo)

 

WANDSメルマガ登録

関連記事

ページ上部へ戻る