「ワインの増税回避へ働きかけを強める」と、米井元一洋酒輸入協会理事長

日本洋酒輸入協会は5月10日、第一ホテル東京で第109 回定期総会を開催し、①平成27年度事業報告と収支決算報告、②平成28年度事業計画と収支予算を原案通り可決承認した。日食が退会したため、現在の会員数は31社。今年の予算では、前年の3倍強の活動費を計上したほか、諸外国の税制調査を行うための特別活動費(400 万円)を新設したのが大きな特徴となっている。

 

開会に先立って挨拶した米井元一理事長は、最近の市場動向に触れ、要旨次のように語った。「今年これまでの事業環境を考えると、当面は厳しい状況が続くと予想される。中国経済の減速に端を発した世界同時株安、原油安にともなう金融市場の不安定化により、緩やかな回復基調が続いていた景気も腰折れ懸念が広がっている。対応策としてのマイナス金利も手堅い効果が出ているとはいえず、逆に金融機関をはじめとする一部企業の業績、悪化も懸念されている。

実質GDP成長率や消費者物価上昇もまだまだ期待した数値とは大きく乖離している。こうしたなかで、我々輸入酒業界も昨年のトレンドが維持できるかどうかいささか不安をもっている。通関統計実績をみても、昨年は数量で102.6%、金額で102.2%であった2?以下のスティルワインの今年3月までの実績は数量で99%にとどまっている。特にウイスキーについては昨年は数量で123.4%、金額で127.5%とかつてないほどの顕著な伸びを示したが、今年はかなり厳しい状況になるだろう」

 

「今年、協会の最大の課題は税制改正である。28年度は酒税改定が見送られたが、29年度においてはいよいよ現実味を帯びつつある。このような状況下でのワイン増税による需要の減退など影響は必至であり、関係団体と連携を図りながら関係当局に従来以上に働きかけていかなければならないと考えている。関税関係では、ワインの関税についてウイスキー、ビールと同様に即時完全撤廃を要望していくとともに、TPP の早期発効や現在進められている日本・EU 間のEPA 交渉の進展は我々の最大の関心事であるので、タイミングのよい情報把握に努めていきたい」。

 

米井理事長はさらに、協会が当面する課題として、①食品表示関係、②社会的要請への対応、③輸入洋酒の流通秩序の維持と消費者保護の問題をとりあげ協会としての対応方針を説明。協会活動の活性化に関しては、「①食品表示基準の施行、②景品表示法の改正、③アルコール健康障害対策推進基本計画の策定、④日・EU 間のEPA 交渉の進展など洋酒輸入業界をめぐる環境が大きく変化するなか、講習会の開催や有益かつタイムリーな情報提供など協会活動の活性化に努めて行きたい」と語った。(M. Yoshino)

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