インド料理と合わせる 21世紀のドイツワイン 注目の品種は

ナビゲーターを務めた瀧田昌孝氏(パレスホテル東京グランドキッチン アシスタントマネージャー&ソムリエ)と「SPICE LAB TOKYO&THE GREY ROOM」総料理長のテジャス・ソヴァニ氏(左)。

 2024年6月27日、Wines of Germany日本オフィスが、ドイツワインとモダンインド料理のペアリングイベントを開催した。会場は銀座の「SPICE LAB TOKYO」。ナビゲーターはソムリエの瀧田昌孝氏で、ドイツワインの最新動向を届けた。以下、かいつまんで伝える。

今世紀のドイツでは大きな変革が起こっている。気候変動で気温が上昇し、以前よりもブドウがよく熟すようになった結果、赤ワインの生産が活発化している。2022年時点で、白ブドウ品種と黒ブドウ品種の栽培面積の比率が約2:1にまで至っている。ファルツやバーデンを中心に、ドイツの黒ブドウ品種の栽培面積は、2000年と2022年比で20%も増加している。
うち、生産の最大がシュペートブルグンダー(ピノ・ノワール)だ。「ドイツのシュペートブルグンダーはアルコール度数が低く軽やかなのが魅力。それでありながら、果実味の密度が高い。糖度の上がりにくいクローンを採用し、ゆっくりと成熟するため」と、瀧田氏は解説する。

ドイツワインの繊細な味わいと、さまざまなスパイスを効かせた料理が、新鮮な食体験を提供。写真はゼクトと合わせた前菜5種。

白ブドウ品種にも変化が見られる。品種別の栽培面積を見ると、2000年と2022年比では、リースリングが10.4%増の一方、グラウブルグンダー(ピノ・グリ)が192.3%増、ヴァイスブルグンダー(ピノ・ブラン)が138.4%増、シャルドネが347.7%増と、現在はフランス系品種が爆発的に増加している。また、気候変動対策としてPIWI品種も普及が始まり、ドイツのブドウ畑の約3%を占めるまでに至る。今回のイベントでもPIWI品種の「ソーヴィニャー・グリ」が供された。

スタイルでは、白の辛口とゼクトの伸長が顕著だ。ゼクトは年間生産量が4億本と、スパークリングワインではプロセッコDOCに次ぐ規模を誇る。供されたゼクト「ビショフリッヒェ・ヴァインギューター・トリアー クレマン・ブリュット・ナチュール 2020」は繊細な酸、うま味、ミネラル感があり、モダンインド料理のスパイスを効かせた爽快な余韻とともに楽しめる。

「ドイツワインは密度の高い味の奥に、繊細さやミネラル感が隠れている」と、瀧田氏は魅力を語った。

(N. Miyata)

 

試飲に供された6種。左から3本目はPIWI品種の「アプトホフ ソーヴィニャー・グリ 2021」。ルッコラの香りやパウダリーなミネラル感があり、中央の皿「ペサラットゥ」と合わせた。同4本目の「ライツ リースリング キャビネット 2021」はラインガウ産のリースリングで、アルコール度数は11%ながらしっかり厚みがある。右の「ラッサム(鰻、トマト味噌のスープ)」と。リースリングの酸とトマトの酸味、オイリーなミネラル感と鰻のボリュームがマッチ。

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