アンデスの恵みを杯に、アルゼンチンワインセミナー&試飲会 開催

写真:セミナーで供されたカテナ、エル・エネミーゴ、アルトス・ラス・オルミガス、フィン・デル・ムンドのワイン。

2024年7月23日、アルゼンチンワインの魅力を紹介するセミナー&試飲会が東京で開催された。ビオソフィ、北山商事、ファインズ、モトックスの4社共催による本イベントには駐日アルゼンチン大使も出席し、アルゼンチンワインの魅力と将来性を熱く語った。

解説した別府岳則氏(右)とイヴァン・アクニャ氏。

セミナーでは、アルトス・ラス・オルミガスのブランドアンバサダー 別府岳則氏と、輸入元ビオソフィー代表 イヴァン・アクニャ氏が講師を務め、アルゼンチンのワイン産地について詳しく語った。アルゼンチンは日本の約7倍の面積を有し、主要な産地はアンデス山脈周辺に位置している。
「隣国チリは太平洋から湿った風が吹くが、アルゼンチンはアンデス山脈を越えることで、乾燥した風が吹く。この乾燥した風と、アンデス山脈沿いの高地がもたらす冷涼な気候が、オーガニック栽培に適した条件を生み出している」と、アクニャ氏。
メンドーサが同国のワイン生産量の約4分の3を占めている。その中でも近年脚光を浴びているのが、標高860m~1,000m級の高地に位置するウコ・ヴァレーだ。この地域の特徴は、低温と大きな寒暖差、そして独特の土壌形成にある。アンデス山脈からの雪解け水が運ぶ多様な堆積物が、川沿いに不均一に堆積し、区画ごとに異なる土壌を生み出している。この複雑な地質構造がテロワールの多様性を生み、現在活発に研究されている。

以下は、セミナーで供された8種から、特筆すべき5種。

カテナ「アドリアナ ヴィンヤード ホワイトボーンズ シャルドネ 2020」
老舗カテナは、2023年にワールド・ベスト・ヴィンヤーズで第一位に輝いている。フラッグシップのこのワインは標高1,450mの石灰質土壌の単一畑。強いミネラル感と生のアーモンドを思わせるハーバルな香りが特徴で、滑らかなタッチとエレガントな味わい。ドライでありながら官能的な風味。

エル・エネミーゴ「グラン・エネミーゴ アグレロ 2019」
エル・エネミーゴは、カテナ家の娘アドリアナ・カテナ氏が2009年、ウコ・ヴァレーで立ち上げた少量生産のプロジェクト。このワインは85%マルベック、15%カベルネ・フランのブレンドで、ルハン・デ・クージョ産。シルキーなタッチとややハーバルなトーン、溶け込んだタンニンと豊かな果実味が楽しめる。醸造はカテナのヘッドワインメーカーが手掛けている。

アルトス・ラス・オルミガス「アペラシオン グアルタジャリー 2021」「アペラシオン パラヘ・アルタミラ 2021」
アルトス・ラス・オルミガスは畑違いによる個性を示した。「アペラシオン グアルタジャリー 2021」は、粘土質の強い土壌で育てられたマルベック。黒い果実の香りと、しなやかな酸が特徴的で、やや重厚感のある味わい。対照的に、「アペラシオン パラヘ・アルタミラ 2021」の土壌は、85%が石灰岩に覆われた小石と砂利で構成され、粘土はわずか3%。よりシャープでこなれたタンニンを持ち、ベリー系の赤い果実の華やかな味わいが印象的だった。

フィン・デル・ムンド 「レゼルヴァ・ピノ・ノワール」
新たに注目を集めている冷涼産地、南端パタゴニア地方のワイン。ワイナリー名は“世界の果て”を意味する。赤い果実の芳醇な風味、口当たりは軽やかで、飲み心地が良い。冷涼気候を反映した涼やかな味わいのピノ・ノワールの好例だった。

同日の試飲会では、ナチュラルワインのマルベックやペットナットなど新興スタイルのワインも多数紹介された。本イベントは、アルゼンチンワインの多様性と品質の高さを示し、日本市場でのさらなる可能性を探る機会となった。

(N. Miyata)

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