北ローヌのセシュエル Seyssuel 村がAOCコート・デュ・ローヌに昇格

リヨンの南30km、コート・ロティの北10kmのセシュエル村 Seyssuel にコート・デュ・ローヌ最北端の葡萄畑がある。現在、この地区のワインはIGP(旧ヴァン・ド・ペイ)ヴァン・デ・コリーヌ・ロダニエンヌの名称で販売されている。

セシュエル村で葡萄栽培をする全14ドメーヌが2004年にヴィティス・ヴィエナVitis Viennaを創設しIGPからAOCコート・デュ・ローヌへの昇格を申請した。この申請が今年INAOに承認され、近々、製品が市場にでることになった。

 

ローヌ河左岸、ヴィエンヌの町に隣接したこの地区は紀元1 世紀から葡萄栽培が栄え、19 世紀には約100ha の葡萄畑があったが、1880 年頃のフィロキセラで破壊され、以来、葡萄栽培は途絶えてしまった。葡萄栽培が再開したのはそれから1世紀を経た1996年。コート・デュ・ローヌ北部の3人の栽培家(ピエール・ガイヤール、フランソワ・ヴィヤール、イヴ・キュイルロン)がこの土地の潜在性を信じて荒れ地を開墾し植樹をした。収穫量を切り詰め、時間をかけた醸造、熟成によって造ったワインは一躍話題になり、他の栽培家がこれに追随した。

 

今日、植樹されているのは約35haでさらに40haが新たに作付可能だという。作付品種は白がヴィオニエ、赤がシラー。葡萄畑は西に蛇行するローヌ河に沿って、南と南東向きの斜面に広がる。ローヌ最北端の葡萄畑だが気温が高く、風通しがよく、特有の動物相、植物相があるという。土壌は水晶や雲母を含む片岩が主体。

ヴィティス・ヴィエナが主催した試飲会で、ドメーヌ毎にセシュエルのワインとAOCコート・ロティ、AOCコンドリューを比較試飲することができた。コート・ロティやコンドリューほどの複雑さはないが、多くのIGPにみられる果実味と飲みやすさだけではない十分な内容と構造を備えている。

殆どの栽培家が8,000~1万本/haの高密度で植樹し収穫量を抑え、時間をかけてていねいに醸造、熟成していることが品質の高さに繋がっている。セシュエルには先駆者の3人の他に、ルイ・シェーズ、M.シャプティエなどコート・デュ・ローヌ北部の名だたる生産者や若手の有能な栽培家が参加し全体の士気を高めている。販売促進にも活発に取り組み、ヴィエンヌ市観光局と協力して、消費者向け試飲や葡萄畑の見学、地元のガストロノミーとワインのマリアージュの催しなどを定期的に行っている。(T.Matsuura)

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