連載/ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ Brunello di Montalcino

ブルネッロ・ディ・モンタルチーノは、D.O.C.認定から50周年を迎えた。来年2017年には、生産者組合であるコンソルツィオ設立から50周年となる。ブルネッロはイタリアを代表する赤ワインのひとつではあるが、こうしてみるとまだ若い産地だ。

毎年2月に行われる最新ヴィンテージのお披露目試飲会「ベンヴェヌート・ブルネッロ」には10年以上通っている。そのたびに数軒の生産者訪問も行ってきたが、まとめて訪問する機会には恵まれなかった。今年はコンソルツィオにも協力を願い、合計32軒を訪れた。試飲会場に居るだけではわからない、ライブな様子をお伝えしたい。

今号のモンタルチーノの丘の北部に位置する4軒で始め、半年ほどの連載とする。

 

2008年のブルネッロ・スキャンダルを機に、ピュアなサンジョヴェーゼへの求心力が高まった。また同時に、たっぷり抽出し香ばしい樽香をつける傾向からなるべく介入しない造りへの流れは、他国・他地域と同様にある。

それと共に、今度はモンタルチーノのサブゾーン化は可能か? という問題意識も顕在化している。ベンヴェヌートに参加し始めてからずっと願っていることだが、なかなかできない。その理由のひとつは、ひとつのワイナリーで丘の複数箇所に畑を所有し、ブレンドしているからだ。味わいのバランスをとるためだけでなく、気候によるリスクヘッジの意味合いもある。またもうひとつ言われているのは、サブゾーンが格付けに近い意味をもつ可能性があり、それを嫌がるメンバーがいるからだ。

実際に訪問して確認すると、確かに場所が異なる数カ所のサンジョヴェーゼをブレンドしている生産者が多かった。ただ、単一畑キュヴェも持っているところが多いため、(造り次第ではあるが)その土地の特性を見ることができた。それぞれの生産者が置かれている立地条件、栽培や造りの方針、理想とするブルネッロの姿などについて記す。(Y. Nagoshi)

9月号では アルテジーノ、カパルツォ、イル・パラディーゾ・ディ・フラッシーナ、シロ・パチェンティを掲載しています。ウォンズのご購入・ご購読はこちらから

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