2016年産シャンパーニュの収穫状況 by CIVC

今年の収穫はシャンパーニュ全体で取り組んでいる原料ワインの備蓄システムが極めて有効に機能したことにまず注目したい。これはフランスのほかのワイン産地にはない興味深いシステムだ。

 

シャンパーニュは一つのミレジーム(ヴィンテージ)だけで造る製品もあるが、生産の大半は様々な畑、複数のミレジームをブレンドして造るブリュット・サンザネ(ノン・ヴィンテージ)だ。だから備蓄ワインがあれば今年のような収穫量の激減した年でも通常年と変わらない数のシャンパーニュを生産できる。

 

今年の収穫が大幅に少なくなった原因の一つは4 月末の霜害だ。特にコート・デ・バールに大きな被害をもたらした。とりわけバール・シュル・オーブの被害が深刻で59%の収穫を失った。バール・シュール・セーヌも48%の収穫を無くした。モンターニュ・ド・ランスやヴァレ・ド・ラ・マルヌなど北部の被害は軽微だったので、全体では14%程度を失う被害にとどまった。

 

開花は平年比で10 日ほど遅れ、6 月半ばから後半にかけて進展した。開花期の天候は安定していた。開花の終わった直後からひどい天候になったので、もし開花期がもう少し遅れていたら深刻な状況になっていただろう。今年上期のシャンパーニュの積算日照時間はこの10 年の平均に比べやや少ない程度だが、降雨量はこの20 年平均の約3 倍だった。このため開花直後からカビが蔓延し、ベト病が猛威を振るった。

 

それに追い打ちをかけるように雹が襲い、大きな被害をもたらした。それも一度ではなく、4月半ば、5月半ば、5月末、6月初め、6月半ばと繰り返した。さらに一部の畑では8月末の猛暑で房の損傷がみられた。

これらが重なり、今年は少なくとも収穫の30%を失った。さらに成熟が著しく不均質だったため、毎年10 万人の季節労働者に頼る収穫は例年以上に細かな対応が必要となった。

 

シャンパーニュ委員会が決めた来春の瓶詰量は今年の収穫分9,700kg/ha に備蓄ワイン1,100kg/ha を含め10,800kg/ha(3億1600万本)。9,700kg/haという収穫量は2009 年以来最少だが、昨年の出荷の伸びを考慮して備蓄分で補い昨年の10,500kg/ha より多く設定した。来年2 月以降の備蓄ワインの取り崩しはかなり大規模になるが、各栽培家ともヴァンクレールの状態で十分なストックを持っているから問題はない。

シャンパーニュの販売状況につきましては、ウォンズ11月号をご覧ください。ウォンズのご購入・ご購読はこちらから

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