ホップ香気成分の研究でサッポロが日本醸造協会技術賞

サッポロビールはこれまで行ってきた「ホップ香気成分の相互作用に関する研究」の成果が評価され、日本醸造協会技術賞を受賞した。受賞理由は「キーとなる香りの成分を分析で見つけるととともに、複数の香気成分の相互作用を官能検査で確認して、ホップの品種に特有な香りの形成メカニズムを提案した」というもの。

例えば、ネルソン・ソーヴィンはビールに白ワインのような香りを付与するといわれているが、そのキーとなる香り成分「チオール」を見出した。また、チオール自体の香りに加え、チオールが他の成分の香りの強さや、香りの特長に影響を及ぼすことにより、ネルソン・ソーヴィンを使ったビールに、この品種特有の香りが形成されていることを解明した。

もう一つ別のホップの品種シトラでは、「ゲラニオール」というバラのような香り成分が、ホップには元々は含まれない「シトロネロール」というライムのような香り成分に変化していること。さらに、そのライムの香りが「リナロール」や「ゲラニオール」といった他の香り成分と組み合わせることで、品種の特長でもある柑橘のような香りが強められることを解明した。

今回の研究成果はこれまでの分析化学的手法のみにとどまらず、感性科学的な手法(官能検査)を組み合わせることにより、ビールを飲む人が実感しているホップの香りを解明しようという取り組みが特長といえる。クラフトビールで使われる、香りに特長のある“フレーバーホップ”といわれるホップ品種の研究の発展のきっかけともなっている。日本発祥のホップであるソラチ・エースの特長を示す香り成分の発見も、この研究成果が生かされている。(A. Horiguchi)

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