「フェヴレ」が所有するメルキュレの3つのモノポール「クロ・ロシェット」「ラ・フランボワジエール」「クロ・デ・ミグラン」はリーズナブルな実力派

メルキュレは、ブルゴーニュ南部のコート・シャロネーズにある産地で、かつては粗野だとされていたが、近年は洗練されたワインが増えている。ピノ・ノワールの畑が約550ha、シャルドネの畑が約85haと、圧倒的に赤ワインが生産の主体であり、多様な土壌がみられる中「フェヴレ」は北部メルキュレに3箇所もモノポールの畑を有している。

そして「フェヴレ」はメルキュレにも醸造所を建設し、2015年に完成した。最新の設備を整えてよりよい条件で醸造できるようになったに違いない。

 

コート・シャロネーズ北部のリュリーの南西に隣接する産地で、北北東から南南西に連なる丘にあるメルキュレは、中央を走る渓谷ヴァル・ドールによって大きくふたつに分けられる。

「フェヴレ」が所有する3つのモノポール「クロ・ロシェット」「ラ・フランボワジエール」「クロ・デ・ミグラン」は、いずれも北部地域にあり距離も近い。基本的にはメルキュレの(大きく分類した)5種類の土壌のうち最も広く分布する、表土が1mほどで母岩が石灰岩の土壌に分類される。

 

Mercurey Clos Rochette 2014

ただし、「クロ・ロシェット」の畑には小さな岩がゴロゴロしており、固く耕作がとてもしにくいという。「ラ・フランボワジエール」のすぐ隣にあるにも関わらず土壌が異なるため、ここにはシャルドネだけが植えられている。1960年植樹の株も残る畑で、4.83haある。

ほんの一部だけ10か月強の樽熟成で、綺麗な果実の風味が楽しめる。

洋梨や桃など熟した果実の香りが、粘性をも感じさせる。アタックもなめらかで、ふっくらとした味わいだが、途中から芯の強さや固さも現れる。全体にスムーズな食感ながら、次第にミネラル感や塩味が感じられる噛みしめるような味わいが印象的だ。

南の要素と石灰岩の要素を併せもっているため、今でも十分に楽しめるが数年置いておくのもよさそうだ。

 

Mercurey La Framboisière 2015

「ラ・フランボワジエール」の畑は、11.11haという広大な畑で、1949年、64年、65年植樹のピノ・ノワールも残っている。

ここから生まれるピノ・ノワールは、昔から香り高かったのに違いない。誰もがこのワインを「フランボワーズのようなパワーのある香り」「まるで赤い果実を食べているような味わい」だと評価している。

特に2015年は温かさも加わり熟したラズベリーが実に豊かだ。それに加え赤い小さな花を思わせるフローラルさ、そしてほんのりとしたスパイシーさも感じられる。香りは開栓直後は少し閉じているので、今ならデキャンタを薦めたい。こちらは一部12〜14か月樽熟成をほどこしている。

とてもなめらかで丸みもあり、ふくよかで生き生きとした果実風味を口中でも楽しめる。タンニンはほどよい味の引き締め役といったところ。

チャーミングな要素とほどよい強さを併せ持つため、魚料理でも肉料理でも合わせられる。

 

Mercurey 1er Cru Clos de Myglands 2014

「クロ・デ・ミグラン」は、My Landsという意味の1級畑で、6.31haある。こちらにも古木が残っており、1963年植樹もある。

ラ・フランボワジエールのすぐ近くにありながら、香りも味わいも随分異なる。14〜16か月の樽熟成でそのおよそ3分の1に新樽を用いている。

1級ということもあり、一段と香りは固く凝縮感がある。ロースト香、スパイシーさ、なめし皮、濃縮したラズベリーなどのベリーミックスといった複雑性のある香りで、より力強さのある味わいでストラクチャーもしっかりしている。

今飲むならデキャンタをして大きなグラスで楽しみたい。

 

もう一度振り返ってみると、白の「クロ・ロシェット」は、マコンほどの丸さではなく、コート・ド・ボーヌの白ほどは厳しくはないが後味は似ている。

「ラ・フランボワジエール」の香り高さは印象的で、一度体験すると忘れられなくなるに違いない。

「クロ・デ・ミグラン」は、コート・ド・ボーヌの赤に近い要素が感じられるので、一度比較試飲してみたいと思わせる。

コート・ドールの有名な村のワインは、白も赤も高価でしかも飲み頃が始まるまでに何年もの時間を要する。その点メルキュレであれば、赤はデキャンタするのをお薦めするが今からでも美味しく飲める。メルキュレは、待ち時間の癒しワインに最適だ。(Y. Nagoshi)

輸入元:ラック・コーポレーション

 

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