クズマーノ デビューから約20年経過し一貫性あるラベルに一新

父との約束

1980年代までシチリアは未開の地であった。クズマーノ家でも例に漏れず父フランチェスコの時代にはブドウとバルクワインを販売していた。ディエゴは1994年に大学を卒業すると、新しいプロジェクトを始めたいと父に懇願した。「その時、父に約束させられたことがある。生産量を増やすのであれば必ず畑を増やすこと。つまり自社畑のブドウだけを使うこと。そして、将来の温暖化を見据えてなるべく標高の高い地に畑を買うことだ」。

新プロジェクトは2000年の収穫から始まり、それからおよそ20年経過しようとしている。昨年、一貫性を持たせるためラベルを一新することにした。上空からそれぞれの畑を見た様子がラベルに描かれている。

フィクッツァ農園

クズマーノが初めて拓いたシチリア西部のフィクッツァ農園は、標高700m。コルレオーナに近く広大な森林の中にある。夏でも日較差が大きく、冬には雪が降る。シチリアの海岸部は暑く糖度が急に上がるとともに酸が急に下がるため、収穫期が早くシャルドネは8月初めに収穫する。しかしここでは9月第2週頃、最良の状態まで収穫期を待つことができる。

「アンジンベ 2018」 は、フィクッツァ農園のピアーナ・デッリ・アルバネージ畑のインソリア70%とシャルドネ30%。醸造はステンレスタンクのみで、マロラクティックは100%。すだちのような清涼感のある香りで、酸がとてもフレッシュで、塩レモンのようなほのかな苦味が感じられる。「シャルドネを30%以上入れるとインソリアの個性が消えてしまう。果実味と凝縮感があるインソリアに、シャルドネのふくよかさを添えている」。

「ヤレ 2017」は、180ha62区画もある広いフィクッツァ農園のうち、樹齢が一番古いシャルドネ8haの北向きの単一畑。1995年植樹。樽発酵し、6〜8か月熟成樽。30%新樽。「2017年は暑くて収穫量も一段と少なかったが、標高が高いのでエレガントに仕上がった」。なめらかなアタックで厚みあるがしっとりとしている。(Y. Nagoshi)

続きはウォンズ2019年1月号をご覧ください。
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