- 2015-8-27
- Wines, スペイン Spain
スペイン北東部の都市ビルバオから、主に白ワインを産するチャコリの生産地域を巡り、内陸の南西へ向かいリオハのワイナリーも訪問した。ビルバオのあるバスク州は「グリーン・スペイン」と呼ばれる通り、樹々が青々として牧草地も見られた。涼しく雨量が充分にある環境なのだ。しかし、ひとたびカンタブリア山脈を越えると、乾燥した台地が続く。ワインは、本当にその土地を表すものだとつくづく思った。チャコリとリオハの現状をお伝えする。
<チャコリ>
チャコリという名前は、まだそれほど日本市場に浸透しているとはいえないが、スペインの地酒、というイメージを持っている人がいるかもしれない。微発泡タイプのそれは、暑い今の季節にちょうどよい白ワインだ。
かつては、バスク地方では広くぶどう栽培が行われていた。そのぶどうで造られた自家消費用のワインは、でき上がってから微発泡している数ヶ月の間に飲み干されていたようだ。ところが、19世紀末のフィロキセラによって畑は壊滅状態となり、更に不況、内戦、世界大戦が続いた。その結果、ぶどう畑が再生されチャコリ復活の日が来るのは、1980年代以降まで先送りされてしまったのだ。
スペイン北東部の美食の地、バスクにある街、サン・セバスチャン、ビルバオでは、一口おつまみのピンチョスでもよく知られている。バルでピンチョスをつまみながら、フレッシュなチャコリを一杯、というシーンも現地で見ることができた。ところが、チャコリは微発泡の白だけではない。DOが3つ存在し、随分個性が異なっていた。地域性と造りたいチャコリの方向性の違いによるものだ。
各DOの概要と、訪問したワイナリーの特徴を記していく。どのワイナリーでも、かつての地元の伝統だったワイン造りを復活させたい、という思いがひしひしと伝わってきた。
また、昨今ワインの酸が見直されている中、比較的酸が高い品種を使用していること、バスク料理やピンチョスが相変わらず高い人気を保っていることから考えると、チャコリはこれから面白いワインなのではないだろうか。(Y. Nagoshi)
つづく/これ以降の内容 につきましては、「ウォンズ」本誌「7、8月合併号」P.24〜33をご覧下さい。WANDS本誌の購読はこちらから
チャコリの訪問先/Txomin Etxaniz, Bodegas Hiruzta, Talai Berri, K5 Arginano, Gorka Izaguirre, Bodegas Itsas Mendi, Doniene Gorrondona, Bizkai Barne, Bodegas Astobiza, Bodegas Artomana
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