ソノマカウンティのニュー・フェイス キャノンボールの大きな水しぶき

「キャノンボールを知っていますか」

キャノンボールCannonball というカリフォルニアワインの説明書きは、こういう問いかけで始まっている。

 

キャノン(大砲)と名のついたワインはいくつかある。しかしキャノンボール(砲丸)は知らなかった。そして砲丸のようにまるくなって水にとびこむことをキャノンボール・ダイヴというらしい。キャノンボール・ワイン・カンパニーはそれをロゴにして、ラベルにあしらっている。

 

キャノンボールの設立は2006 年で、ソノマのヒールズバーグにワイナリーがある。デニス・ヒルとヨアヴ・ギラットの二人がオーナーだ。

 

デニス・ヒルはソノマ生まれ、家業のブドウ栽培をみて育った。成人して醸造家になりセゲシオやブラックストーン・ワイナリーで長らくワイン造りに携わったベテランだ。クラシックなソノマをよく知っている。ブラックストーンがコンステレーションに買収されて、デニスはたくさんの醸造家を束ねるバイス・プレジデントに就いた。数年間、ブドウ畑やワイン造りの現場を離れる寂しさを感じていたという。

 

そんな時に、若いヨアヴ・ギラットと出会った。イスラエル出身のヨアヴは、元弁護士の起業家でしかもワイン愛好家だった。キャノンボールの輸入元・オルカ・インターナショナルの招きで来日したヨアヴの名刺には、シェア・ア・スプラッシュ・ワイン社「CEO 創業者」の下に「プロフェッショナル・ダイバー」と書かれている。ヨアヴはプロダイバーなのだ。

 

ワインにキャノンボールと名付けたわけを聞いた。

「キャノンボールは子どものころの水遊びです。膝を抱えて砲丸のようにまるくなり、そのままお尻から水面にとびこむ。すると大きな水しぶきができて、周りで見ている子たちもびしょ濡れになります。どれだけ大きな水しぶきをあげられるか競うのです。たわいもない遊びですが底抜けに楽しくてみんなが笑顔になります。

 

私とデニスはワインもそうあるべきだと思ったのです。人種や宗教や社会的地位が違っても、お金持ちもそうでない人も、老若男女を問わず、これまでワインを飲まなかった人に受容れられることが大事だと思うのです。キャノンボールで遊んだ頃のように、みんながただ純粋に楽しむことのできるワインを真剣に造っているのです」。

 

キャノンボールは極端に濃縮したワインではない。アルコール分は13%台で、小売価格も2,900 円である。濃くて強くて高いワインではなく誰もが純粋に楽しむことのできるワインである。(K.Bansho)

 

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