- 2017-10-20
- Wines, シャンパーニュ Champagne, フランス France
銀座の名店で修行を積み、そのパリ店立ち上げにも尽力したコンビが乃木坂に構えた日本料理店「乃木坂 しん」は2016年6月オープンとまだ新しい。しかし、銀座とパリという激戦区での経験があるからだろうか、代表でソムリエの飛田泰秀さん、店主でシェフの石田伸二さん、ともにとても柔軟で勘のよい人だ。「ペリエ ジュエ ブラン・ド・ブラン」のための一皿をこの二人にオーダーした。
<ブラン・ド・ブランに白和え>
美しい一枚板の白木のカウンターがある。そこに、透明なボトルに小さな白いアネモネの花があしらわれた「ペリエ ジュエ ブラン・ド・ブラン」が置かれた。互いに真っ白ではない白木とブラン・ド・ブランの色合いが、清楚で上品なコントラストを見せてくれる。
石田さんと飛田さんからの一皿は、偶然にも「白」だった。懐石料理の先付けとして供されることの多い「白和え」だ。外観からすでに調和していて心が踊った。
「洋梨と春菊の白和え」だという。柔らかいが甘すぎない洋梨に、しゃっきりとした春菊のほろ苦さが加わり、松の実の香ばしさがアクセントとなる。これらの素材がクリーミーで優しい味わいの白和え衣を纏い、針柚子で飾られる。
<ペリエ ジュエ ブラン・ド・ブランの個性に寄せていく>
「繊細で華やか。そしてもちろんベル エポックよりも親近感がある。ペリエ ジュエらしい白い花の香りや洗練されたアカシアのハチミツも香り、果物ではリンゴや洋梨が感じられた」と、飛田さん。
まず、包容力のある白和えを思い浮かべた。石田さんの白和えは、食事の初めに出すことも考えて基本的に酸をきかせているからだ。白和え衣はクリームチーズに似たクリーミーさがあるため、酸を加えることでよりクリーミーなチーズに近い味わいになる。ただ、それだけではもったりした印象になる。だから、季節の果実と野菜を組み合わせることで、ジューシーさ、甘さ、ほろ苦さなどを加え、「ペリエ ジュエ ブラン・ド・ブラン」の個性に寄せていくことにした。
「はじめはリンゴも考えた。けれど、グラスの中で動き始めると、少し洋梨の風味も現れた。ちょうどよい洋梨、バートレッドが入っていたからそれを」と、石田さん。
「そこに黄柚子をのせることで、香りもより同調する。口の中で柚子を噛んでから一口飲むと、互いの香りが広がるから。あられ柚子のように細かく刻んでしまうと噛まないで飲み込まれてしまう可能性もあるので、噛んでもらえるように柚子は長くしてもらった」と飛田さんが付け加えた。
互いの感覚を伝え合うことで、新たな一品の創作へと繋げる名コンビだ。
この一皿が内包する溌剌としたフレッシュさ、クリーミーさ、熟した果実の要素、ほんのりとした香ばしさ。これらが自然体で「ペリエ ジュエ ブラン・ド・ブラン」に合うのは、どちらも職人の感性と情熱がこもった作品だからではないだろうか。
「この1本を楽しむためにはどうしたらいいのかと考えて、香りや甘み、酸味、そしてテンションや密度を合わせていくと自然と寄り添っていく。自ずとストーリーができあがる」という飛田さんの言葉が印象的だった。
<応用編>
「洋梨と春菊の白和え」はぜひ真似てみたいと思うが、他に何かお薦めはないかと聞いてみると「和食は難しい、というイメージがあるようだが、実は……」と、石田さんも飛田さんも、頭の柔らかいふたりにはまだまだたっぷりアイデアがあった。これでなくては! と決めつけるのではなく、その時の素材の状態、季節や天気、お客様の状況に合わせて臨機応変に現場を大切にして仕事をしている人ならでは。
例えば、今回はお題がシャンパーニュなので「そのまま?」と思われがちなブドウはやめておいたが、今美味しい果実のひとつとして洋梨をブドウに替えてもいい。あるいは、洋梨は柔らかい食感なので大きめにカットしたが、リンゴであればジューシーな甘みが特徴のゴールデンデリシャスを小さめにカットして。
白和え衣に加える酸味はお酢でもよいが、スダチなどの柑橘類、ポン酢系を使うと一層相性がよくなる。
白和え衣で和えるから「白和え」と呼んでいるけれど、衣の濃度を上げて素材の上にソースのようにかけると、素材の味、衣の味、両者を共に、と味わう楽しみ方が増える。
今回の白和えに茹で車海老、あるいは蒸し鮑を加えて、旨みや食感をプラスαするのもいい。「白和えは衣の味わいや濃度を素材に合わせることで、多くの食材に合わせられる結構万能な料理」だと石田さん。これは覚えておくと良さそうだ。
白和えでなくとも「あまり重すぎる味付けや赤みの肉類でなければ、なんでも合わせられそう。特に、柚子やスダチ、カボス、橙などを絞ったり果皮を散らしたりと、柑橘類の香りをプラスするのがポイントだ」という。
魚なら、白身魚を塩焼きや蒸し焼きにしてもよいし、昆布をあてた鯛もとてもよく合いそうだ。蒸し鶏に胡麻ドレッシング。あるいは、柑橘類を使った一品として、グレープフルーツに醤油を加え、それをドレッシング代わりにエビやカニなどの甲殻類を和えるのもいいと薦めてくれた。
一体どれから合わせてみようかと迷うほど。「ペリエ ジュエ ブラン・ド・ブラン」1本で和の食卓が一段と華やかになりそうだ。(Y. Nagoshi)
取材協力:「乃木坂 しん」
輸入元:ペルノ・リカール・ジャパン株式会社(ペリエ ジュエ)
「ペリエ ジュエ」のイメージそのままの白を体現した「ブラン・ド・ブラン」今春から日本にて先行販売 〜クリエイション秘話〜
「ペリエ ジュエ ブラン・ド・ブラン」×「エスキス」 〜トーンや色合いが同じ方向性の料理と〜
参考:「ペリエ ジュエの真髄 グラン ブリュットができるまで 〜畑から食卓まで〜
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