豪州ワインの市場動向/豪州ワイン好調 スティル7.6%増、スパークリング33.1%増

オーストラリアワイン市場が堅調に拡大を続けている。

今年1~10月累計の輸入通関統計によると、オーストラリアからの瓶入りおよびBIB等大型容器入りを合わせたスティルワイン輸入量は約77万4400ケースで、前年対比7.7%伸びた。特に2リットル超のBIB等大型容器入りのワインが健闘しており、10万2000ケース、30.5%増。

また、バルクワインの輸入は281万Kl(9リットル換算で31万2400 ケース)で、41.1%増の大幅増。リボトル、リパック製品の過剰在庫の整理に追われた昨年は輸入量が半減したものの、今年はこの分野への新規参入もあり再び勢いを取り戻してきた。スティルワイン全体に占めるシェアも27.8%、ほぼ3割を占める。こうした製品を含むオーストラリアからのスティルワイン総輸入量は10月までですでに100万ケースを超え、今年は記録を塗り替えることがほぼ確実となっている。

また、スパークリングワイン輸入量も19万9200ケース、33.1%増と好調を維持。EPA実質4年目に入って今年のスパークリングワインの関税逓減効果が1ℓあたり91円まで拡大していることも背中を押しているようだ。

 

市場における実際の販売状況はどうか。

専業インポーター、ファームストンの今期4~9月までの販売実績は金額ベースでほぼ3%増。「ひと頃のように2桁増とはいかないが、今後も堅調な動きが期待できる」という。これを牽引しているのはデ・ボルトリ社のDB。量販家庭用市場での配荷およびリピーターが増えている。さらに業務用専用ラベルの開発により、ホテルバンケットや新たな料飲店需要を広げている。豪州産プレミアム商品への需要も順調に増大しているようだ。

大手ブランドでは、イエローテイルの販売は10月までで1%増。家庭用では、既存アイテムのカベルネ・ソーヴィニヨン、シャルドネに加え、新商品のモスカートバブルス、レッドモスカートバブルスが好調。業務用では今年10 月、西日本限定商品「ビッグ・ボールド・レッド」を発売した。

サッポロビールでは、同じカセラ傘下のピーターレーマンを昨年5月から取り扱っており、今年の販売は前年比147%増。ペンフォールズ(4%増)のビンおよびクヌンガ・ヒルシリーズとあわせて、中価格帯ワインも市場を広げている。

ジェイコブス・クリークの販売はほぼイーヴン。コアレンジのシラーズ カベルネ、シャルドネに加え、日本の食との相性を前提に開発された「わ」と、「ダブルバレル」が好調。ダブルバレルはショットバーなどでも取扱があり、両製品はブランド全体の料飲店市場の開拓にも貢献している。年末年始のパーティシリーズにむけて、スパークリングの「シャルドネ ピノ・ノワール」と「ロゼ」を対象に、フルラッピング限定ボトルを発売した。

(中略)

日豪EPA 発効からすでに丸3年が経過した。その効果は、直接的な関税逓減効果だけでなく、市場における注目度の高まりにも繋がっている。今秋開催されたオーストラリアワインのグランドテイスティングイベントには昨年を上回る参加者があり、オーストラリアワインに対する認知、関心が確実に広がっていることを伺わせた。

ワインオーストラリアのアジア地区担当である手島孝大氏は、「オーストラリア本国ではアジアの最大市場である中国とアメリカを販促の最大ターゲットにしており、アジア市場5位の日本への投資予算を獲得するのはなかなか厳しい。しかし、影響力のある大橋健一MW やトップソムリエ達のオーストラリアワインに対する関心は高く、グランドテイスティングに出展したサプライヤー達も日本市場の反応の凄さに改めて驚いている。フォローの風が吹いていることは間違いないので、今後も地道な努力を積み重ねていきたい」と語っている。(M. Yoshono)

本文詳細はWANDS誌2017年12月号をご覧下さい。ウォンズのご購入・ご購読はこちらから デジタル版もできました!

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