小諸駅から車でほぼ10分、小諸市街を望む丘陵地にあるマンズワイン小諸ワイナリーはプレミアムワイン「ソラリス」の故郷。栽培~醸造~瓶詰め~熟成~出荷まで全ての工程を一貫して行うこのワイナリーは1973 年に設立された。東信地区では最も古いワイナリーだ。
ワイナリー設立に先立つ1971年、マンズワインは降水量が少なく、日照が豊かで、昼夜の寒暖差が大きい長野のぶどうのポテンシャルに着目し、醸造用ぶどうの契約栽培を開始した。当初は善光寺ぶどう主体で、最大60ha、約1000トンのぶどうを大きなタンクで仕込んでいたが、その後の需要低迷で2000年代初頭には契約農家の件数も減少傾向に。ベクトルが大きく転換したのは2010年以降で、それまではワイナリー場内のシャルドネに限られていた自社畑あるいは自社管理畑を拡げるようになった。
現在は、小諸に10ha、上田市塩田原の東山に10ha、計20haがソラリスの原料供給畑。その内、およそ半分が自社畑あるいは自社管理畑。契約農家は小諸と東山にそれぞれ20軒ほどあるが、高齢化もあってマンズワインが直接管理する畑が増えている。
優良葡萄の産地として小諸と東山にこだわる理由はなにか、それぞれの産地特性はどう違うのか。質問に応えて、小諸ワイナリーの責任者、西畑徹平氏は次のように説明する。
「まず、同じ千曲川流域とはいえ、菅平を境にして北と南では気候区分が違います。下流域の北信は全体に標高が低く、東信よりも温暖。一方、同じ東信でも、標高550mの上田と650mの小諸では約1℃ほど平均気温が違います。上田市にある東山は粘土質に少し砂質が混じった土壌でよりカベルネ・ソーヴィニヨンに適していると言えるでしょう。
一方、小諸は標高の高さに加えて、浅間山から吹き下ろす風の影響もあります。メルローについていえば、樹齢10 年の東山のメルローは力強く、小諸のメルローは力強さの中にエレガンスがある。これに対して、桔梗ヶ原など中信のメルローには紫っぽいニュアンスがあるように思います。個人的には、さらに多くの造り手が増え、ワインの味わいの比較ができるようになれば、産地の特徴を見る上でも面白いと期待しています」。
(中略)
フラッグシップとなる「ソラリス信州東山カベルネ・ソーヴィニヨン」「ソラリス信州小諸メルロー」に使う葡萄の区画は予め決まっていて、厳しい収量制限を実施している。「ソラリスの特徴は葡萄の質の高さをそのまま反映し、醸造学的欠陥がないワイン。葡萄栽培のレベルは10年前より格段に上がっており、10年前ならソラリスにした葡萄も今は外している。2017年も収穫をもう少し待って、完熟した葡萄を使うようにしている。信州小諸のメルローは昔は造れない年もあったが、今は安定してつくれるようになった」と、西畑氏は語る。
信州千曲川産メルロー2014
熟したプラムの香り、肌理細かい舌触り。バニラやリコリス、チョコを思わせる甘い風味。
信州カベルネ・ソーヴィニヨン 2014
信州東山の次に位置するワイン。カシスやドライフルーツ、きめ細かなタンニン。凝縮しているが、エレガント。押しつけがましくない美味しさがある。「赤は基本的に1年半、18か月熟成させている。フラッグシップの信州東山カベルネ・ソーヴィニヨン2015は昨年5月にリリースしたが、造られた数は3000本弱にすぎない」。
信州小諸メルロー2014
豊かで複雑なアロマ。凜とした骨格と同時に、包み込むようなたおやかさ、しなやかさを感じるワイン。
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トップ画像:ソラリスシリーズのメルローには3つのティアがある
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