オーストリア ワインレポート

ニッチながら相変わらず堅調なワイン市場確保を続けているオーストリアが、6月初めに「オーストリアン・ワイン・サミット2015」を開催した。各国から参加したジャーナリストが複数のグループに分かれて産地訪問した後、ウィーンに集合してグリューナー・ヴェルトリーナーをカテゴリー別に試飲する、というプログラムだった。ウィーンの南に広がる、ハンガリーとの国境にあたるブルゲンラント地方を訪問した。訪問産地については地元品種のブラウフレンキシュとツヴァイゲルトから造られる、赤ワインを中心に報告する。

 

<ブルゲンラント地方の概要>

ブルゲンラントは「太陽の地」と呼ばれている通り、年間の日照時間は2,000時間以上、晴れの日は300日以上ある。大陸性気候の中でもパノニア平原の影響を受け、パノニア気候といわれており、年間降水量は500mmと少なく、夏の気温が高いのが特徴となる。

この地は、1920年代にオーストリアに加わったが、それまではハンガリーに属していた。そのため、今でも食習慣をはじめハンガリーの影響は多いに受けている場所だ。例えば、グーラッシュと呼ばれる辛い牛肉料理がある。1キロの玉葱をゆっくり炒め、1キロの牛肉を加え、少し水を足して煮込む。レッドペッパーで味つけをするのでとても辛い料理だ。生地のハンガリーではスープのようだが、ここではもっと濃縮されて水分が少ない料理に変化している。

ワイナリーは、小規模な家族経営が大半を占めている。白はグリューナー・ヴェルトリーナーとヴェルシュリースリングが多く、辛口白ワインだけでなく、高品質な甘口白ワインも知られており、特にノイジードラーゼー湖の湿度の影響を受けてできる貴腐が高名だ。赤はブラウフレンキシュが筆頭で、ツヴァイゲルトがそれに続く。その他の地元品種としてはサンクト・ラーレン、そしてピノ・ノワール。ピノ・ノワールは既に600年前から栽培しているので、地元品種として認識されている。

ちなみに、2014年は他のヨーロッパの例に漏れず雨が多かった年で、造り手にとって大変困難な年だった。収穫量は平年より30%減だと報告されている。

—ブルゲンラントの栽培面積:13,840ha

—生産比率:赤ワイン55%/白ワイン45%

—主要品種:ブラウフレンキシュ 3,053ha / 22%、ツヴァイゲルト 2,649ha / 19%、グリューナー・ヴェルトリーナー 1,473ha / 10%、ヴェルシュリースリング 1,422ha / 10%、シャルドネ 566ha / 4%

(Y. Nagoshi)

つづく/これ以降の内容(項目は以下の通り)につきましては、「ウォンズ」本誌「9月号」P.9〜16をご覧下さい。WANDS本誌の購読はこちらから

<ブルゲンラント地方のワインの特徴>

<ブルゲンラント地方のDAC>

ライタベルクDAC/訪問した生産者/プリラー Prieler

ミッテルブルゲンラントDAC/訪問したサブ・ゾーン:ドイチュクロイツ Deutschkreutz:ネッケンマルクト Neckenmarkt:ホリチョン Horitschon

アイゼンベルクDAC

<ブルゲンラントの象徴的なワイン3種>

<グリューナー・ヴェルトリーナー試飲会>

「パワフルなリザーヴタイプ」「熟成タイプ」「革新的&野性的なタイプ」

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