日本産ソーヴィニヨン・ブランの 今とこれからを展望する ワークショップ

日本ワイナリー協会がこのほど、造り手達を対象とした「ソーヴィニヨン・ブラン ワークショップ」を開催した。

当日は2部構成で行われ、第一部は、ニュージーランド、マールボロのフォリウム・ヴィンヤードとワークショップ会場とをSkype通信で結び、オーナー兼栽培醸造家の岡田岳樹氏に現地でのソーヴィニヨン・ブラン(以下SB)の栽培、醸造について語ってもらうという趣向。折からニュージーランドに滞在していた、農業技術研究者として農業のIT化を進めている西岡一洋氏もチャットに参加した。


ワイン造り
40年で世界のワイン市場に打って出たマールボロのソーヴィニヨン・ブラン

  岡田武樹氏は1978年生まれ。北海道大学卒業後、米国のUCデイヴィスでワインづくりを学び、ロワールのアンリ・ブルジョワがニュージーランドでワイン造りを運営するクロ・アンリに入社。そこでの栽培責任者を経て、2010年6月にワイン輸入会社nakatoとともにフォリウム・ヴィンヤードを立ち上げた。ちょうど収穫シーズンに入り、前日にはピノ・ノワールを収穫したという岡田氏は、ニュージーランドのSBがどのように産業化されてきたか、次のように解説する。

岡田岳樹氏

マールボロ地区におけるブドウ栽培面積は2万5135ha で、ニュージーランド全体の栽培面積の67%を占める。品種構成はSBが85%と圧倒的で、ピノ・ノワールが6%、シャルドネが4%と続く。

ニュージーランド南島の北東部、マールボロで初めてブドウが栽培されたのは1873年。この年、モンタナ(現ブランコット・エステート)が初めてSBを植樹し、79年にファーストヴィンテージをリリース。85年にはクラウディ・ベイも設立された。現在マールボロ地区にあるワイナリー数は141にも及んでいるが、わずか45年の歴史しかなく、この30年~ 40年間で栽培面積も生産本数も飛躍的に拡大した。この飛躍を支えたのは89年代初頭から半ばにかけて世界のメディアがこれまで世界のどの産地にも無かった香味をもつマールボロのSBに注目し話題になったことに加え、現地でも意識的に新しいスタイルのワインづくりを目指したからだという。

マールボロにおけるSBの生産者が重視しているのは、果汁中に存在しピーマンやアスパラガス様のグリーンでグラッシーな香りを生み出すメトキシピラジンと、発酵の副産物として生成される3MHAや3MHなどのチオール類。特にマールボロのSBにはチオール類が非常に多く、香味の特徴を形成していると考えられることから、一般に、マールボロの生産者達は前駆体の最大化や醸造面におけるチオール生成を最大化することを目標としているという。

(中略)

多様な味わいへの可能性を秘めた日本産ソーヴィニヨン・ブラン

鷹野永一氏

第二部のパネル・ディスカッション「日本におけるソーヴィニヨン・ブランの現状」にパネリストとして登壇したのは、小山英明(リュードヴァン)、桜井楽生(サントリーワインインターナショナル)、高瀬秀樹(シャトーメルシャン)、戸澤一幸(シャトレーゼ・ベルフォーレワイナリー勝沼ワイナリー)、西畑徹平(マンズワイン)の5氏。コーディネーターを務めた鷹野永一(信州たかやまワイナリー)氏の進行により、各氏が造る2017年産SBをブラインド試飲しながら、栽培醸造の現状や目指しているワインのスタイルについて語りあった。

(中略)

予定を超えて2時間以上におよんだパネル・ディスカッション。造り手達の関心は窒素量のコントロールや還元臭、チオールに対する考え方など栽培・醸造の細部におよび、これまで培われた知見の情報交換を含んだ熱心な議論がかわされた。

世界中でSBが造られているなかで、日本のSBはどうあるべきか。品質や個性、価格とのバランス、産地形成と農家との関わり方など乗り越えるべき課題は少なくないが、コーディネーターを務めた鷹野氏は、「物作りをしていく中での可能性についてはいろいろ選べることができる、ということが今日の話の中で明らかになったと思う。その分難しさはあるが、それこそが造り手としての醍醐味。今はまだ始まったばかりなので、多くの造り手達がSBのワイン造りに加わることで加速度的にいろいろな価値が創造されてくるだろう。まずは造り手一人一人が個性を発揮しつつ、大同合意を目指していくことができれば良いなと感じている」と結んだ。

 

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