悪魔の黒ラベル ディアブロ・レセルバ・プリバダ

「カッシェロ・デル・ディアブロ レゼルバを日常的に愛飲している消費者が、時にはワンランクアップのディアブロを試してみたいという。そんな思いに応えようではないか――」。“黒ラベルのディアブロ”レセルバ・プリバダ(プライベート・リザーヴ)は、醸造家マルセロ・パパのそんな思いから生まれたという。

2003年産カベルネ・ソーヴィニヨンが初めてのレセルバ・プリバダで、翌2004年にソーヴィニヨン・ブラン、その後にカルメネールが加わって、現在は3種類のレセルバ・プリバダになっている(参考小売価格はいずれも2,450円)。

 

2019年の収穫が「7割方終わって、一息ついているところ」というマルセロ・パパが、サンティアゴの「ニッケイ料理店」にやってきた。和食とペルー料理の融合した新ジャンルの料理をペルーでは「ニッケイ」という。ニッケイは和食と並ぶサンティアゴの人気料理である。KARAIのニッケイを食べながらマルセロに「ディアブロの黒ラベル」について聞いた。

 

チリの国土は複雑で、ブドウ栽培地の気象条件はかなり入り組んだ構造になっている。カッシェロ・デル・ディアブロ レゼルバは、その複雑なチリの全体像を表現しているのに対して、レセルバ・プリバダは特定のアぺレーションの最適品種を使ってその地域特性を表現している。より小さなテロワールを表現したワインだ。

 

カベルネ・ソーヴィニヨンはマイポヴァレーにフォーカスし、カシスに代表されるマイポのフルーツを表現している。カルメネールはカチャポアルヴァレーのペウモだ。ペウモのカルメネールはレセルバ・プリバダからカルミン・デ・ペウモに至るまでコンチャ・イ・トロのあらゆるレンジのワインに広く使われている。ソーヴィニヨン・ブランはリマリヴァレーである。リマリには独特のミネラリティがある。ここでは通常より2割から3割ほど収量を抑えている。

 

DOリマリヴァレーは、サンティアゴから直線距離で北に350km。アタカマ砂漠に近い乾燥した土地である。ブドウ畑は海岸線から20kmほど内陸に入ったところに位置している。リマリの地形の特徴はアンデスの山裾が海岸線近くまで張り出していること、タリナイという名の海岸山地はあるが標高が足りない(低い)ので海風を遮ることができないこと。だから夜間にトンゴイ湾から海霧が忍び込み、いつでも冷たい海風に晒されている。1月が最も平均気温の高い月だけれど、それでも最高気温は25℃、最低気温(夜間)は12℃である。午前中は常に霧がかかっていて夏でも寒く、一日のうちで気温が24℃を超えるのは最長でも3時間だ。だからフルーツの香りは控えめで、食事と合わせやすいワインができる。

土壌は粘土質と砂質で、これにパウダー状の石灰質がたくさん含まれているのがリマリの特徴だ。海にもっとも近いケブラダ・セカ地区のブドウはカサブランカのブドウよりずっとエレガントだ。

Casillero del Diablo Reserva Privada Sauvignon Blanc 2018

リマリを忠実に表現している。ライムやグレープフルーツなどの柑橘の香りの中に、ほのかにグリーンペッパーが香る。口中にはフレッシュなグレープフルーツや黄色いライムが広がり、クリスピーでジューシーな酸味が舌を打つ。クリーンで長くエレガントなフィニッシュ、ほんの少しチリペッパーを感じる。

つづきはWANDS 2019年6月号をご覧ください。
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