「ドミニク・ブシェ」のためだけに造られる「ピエール・ミニョン」のシャンパーニュとは +マリアージュ

パリと東京に店舗を構えるフランス料理店「ドミニク・ブシェ」では、ハウス・シャンパーニュに小規模生産者の「ピエール・ミニョン」の数銘柄を取り揃えている。通常のキュヴェにプライベート・ラベルを貼付けているのかと思ったら、特別にあつらえたキュヴェだという。どのような特注品なのか、お薦めのマリアージュも含めてシェフのドミニク・ブシェに聞いた。

 

@Masahiro Goda

@Masahiro Goda

「ピエール・ミニョンとは、もう35年来の友人で、一緒に飲んでいる時に決めたんだ」という。もともとシャンパーニュが好きだと聞いていたが、とりわけピエール・ミニョンとは仲が良い。ただ、ミニョンという名のシャンパーニュはもうひとつあり、そちらはスーパーマーケットにも置いてあるから間違えないように、と釘を刺された。ピエール・ミニョンは小さいが、エリゼ宮やホテル・クリヨン、トゥール・ダルジャンでも扱われており、ほぼ業務用だ。

そのミニョンが特別仕様を造ってくれていることは、ドミニク・ブシェにとっても誇り高いにちがいない。

 

bottle初めてプライベート・ラベルを造ったのは10年ほど前になる。ピエール・ミニョンからの提案で、アッサンブラージュにも立ち会い、ドザージュについてもドミニク好みにしてくれる。

5代続いているピエール・ミニョンはヴァレ・ド・ラ・マルヌに拠点があり、自社畑は16haで、場所柄ピノ・ムニエの栽培比率が60%と多い(残りはシャルドネ30%、ピノ・ノワール10%)。ところが、ドミニク・ブシェはそれほどムニエのファンではないということで、ここのPBにはムニエを少なめにしてもらっているという。

 

bottleheartまた、ドザージュが少ないほうが好みのため、どのキュヴェも4〜5g/ℓと抑えているが、5年前からはゼロ・ドザージュ(ピノ・ムニエ55%、シャルドネ35%、ピノ・ノワール10%)も仕立ててもらった。かなり気に入っている様子で、ラベルに薄いピンク色のハートマークさえついている。

「まず、シャンパーニュはアペリティフとして飲みたい。ただ、料理の前に甘いものが口に入ってしまうと、料理につながならいと考えている。ゼロ・ドザージュでフレッシュ感を最初に楽しんで、それからじっくり料理を味わってもらうのが一番よい」というのが彼の主張だ。

 

更に、昨年からロゼとブラン・ド・ブランも新たにラインナップに加わった。フレッシュさ、ミネラル感、花のような香りがドミニク好みだと把握しているピエール・ミニョンは、シャルドネを3つの村から購入することにした。選んだのは、シュイィ、クラマンを主体にしてアヴィーズを少々。8,000本のみの限定品だ。

味見させてもらうと、白い花や柑橘類のフレッシュな香りが上品に立ちのぼり、生き生きとしている。ドザージュは少ないが、鋭角的な要素は感じられず、飲み心地がよい。

 

この新作ブラン・ド・ブランに、一品お薦め料理を作ってもらった。

「オマールブルーのパルマンティエ ブール キャビア」

1990年代に作っていた評判の料理をいくつか、復刻版のような形で新バージョンとして最近出し始めているもののひとつだという。

dbryori

オマール海老を、オマール海老のビスクとエストラゴンで和え、ジャガイモとパン粉とともに成形し、ソースはブール・ブラン。キャビア、イクラ、シブレットが飾られている。こぶりながら贅沢な一皿だ。オマールの濃厚な味わいとクリーミーさが前面に出ているのだ、重いわけではないが、力はある。

このブラン・ド・ブランは、冷えていると喉越しよく飲めてしまうが、少し温度が上がってきた頃にふくらみや熟した黄色い果実の風味が豊かになるので、オマールに合わせるには少し高めの温度のほうがしっくりする。

 

ちなみに、その他のお薦めの組み合せは、

ブリュット — フォアグラ、魚のグリエ

ブラン・ド・ブラン — 白身肉、オマール海老のような甲殻類、帆立貝

ロゼ — 桃など、フルーツを使ったデザート

銀座の店ではグラスで提供するブリュットは、マグナムボトルでサービスするので大変好評だという。見た目のインパクトもあるが、やはりシャンパーニュのマグナムには特別な味わいが秘められている。(Y. Nagoshi)

関連記事

ページ上部へ戻る