- 2015-11-16
- Spirits
国税庁のホームページをみると「旅館などで自家製の梅酒を食前酒として提供することは可能か」といったQ&Aが掲載されている。
もちろん税務署に申告すれば可能である。通常は酒類に他の物品を混和する場合は製造行為とみなされ、製造免許が必要となるが、平成20年度税制改正で、特例適用混和(以下、特例混和)という、新たな特例措置が設けられた。焼酎やウイスキー、ブランデー、スピリッツなどの蒸留酒でアルコール度数が20%以上のものに混和する場合は、税務署に申告すれば特例的に年間1キロリットルまでは認めるというもの。20度以上というのは混和後アルコール発酵がないものに限られているからだ。なお、消費の直前に混和する場合や消費者が自己の消費のために混和する場合などは、以前から例外的に酒類の製造とみなされず、「製造免許は不要」と定めている。
このため、自家用の梅酒づくりやバーの通常営業でカクテルの注文があってから混和するものは含まれないが、民宿などで自家製酒を販売する場合や、バーで事前の漬け込みやインフュージョン(浸漬)を行う場合は申告が必要となる。
国税庁によれば、詳しい実態把握はしていないが、申請件数は21年末に600件だったものが、23年末には1250件、24年末には2000件、25年末には2400件と増え、直近でも毎年400件ずつ増え続けている、という。
バーテンダーの中でもカクテルのベースとなるスピリッツにこだわりを見せ、自らベーススピリッツをつくり出す傾向が強い。例えば、ディアジオ社主催ワールドクラス2013年日本代表で世界第3位の宮崎剛志氏は、エスプレッソマシンを使い、『タンカレー№TEN』から1839年当時のオリジナルレシピ「マラッカジン」を再現して、オリジナルカクテルのベースに使用するプレゼンテーションを披露した。バーテンダーの間ではこれをメモする姿が目立った。これだとサードウエーブなど素材にこだわったコーヒー豆をインフュージョンしたコーヒーリキュールやオーガニック素材を使用したフルーツリキュールなどを生み出せ、通常の本格リキュールとの差別化もできる。ただ、これがレンジリキュールの伸び悩みの一因とも見られている。
一方、信濃屋食品によれば、本格リキュールの中で、最近伸長しているのが『アブサン』など、薬草系のハーブリキュールだという。レシピや配合比率が非公開で、漬け込みやインフュージョンでは再現できない、唯一無二の存在が強みということだろう。『イエガーマイスター』は昨年の本格リキュールカテゴリーの中で、その伸び率が6割増と突出している。今後はアニス系リキュールの注目度がさらに高まる可能性もある。(A. Horiguchi)
画像:世界に挑戦するバーテンダーにとって、ベーススピリッツには人一倍のこだわりがある。このため、様々な機材をうまく使いこなせるかも腕の見せ所である
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