新シェフ・ド・カーヴが語る パイパー・エドシックの未来像

パイパー・エドシックの新シェフ・ド・カーヴに就任したエミリアン・ブティヤが初来日し、新ヴィンテージ2012年を披露すると共に今後の展望について語った。

シャンパーニュのメゾンで世代交代が相次いでいる。パイパー・エドシックも例に漏れず、昨年10月に新シェフ・ド・カーヴが着任した。長年務めたレジス・カミュは、プレステージのキュヴェ・レア専属となったようだ。エミリアン・ブティヤは、2018年収穫のブドウを用いる今春のブレンドから携わっている。

「レジスとは既知で、価値観を共有できる人だと感じていた。誠実でオーセンティックを求める人だ。加えて、レジスと同じスタイルを好きだということもわかり、嬉しい。パイパーのスタイルを繋げていくことが第一優先だが、昨年から7名の醸造チームと共に仕事をし始め、さらに質を向上させられると感じている」。

チームが一丸となってパイパーのDNAを引き継いでいくものだと考えているが、今春自分の初ブレンドをレジスと古参も多いチームのメンバーに試飲してもらう時には相当緊張したようだ。ちなみに2018年はエミリアンの見立てでは「良い、あるいはとても良い出来で、傑出してはいない。健全なブドウで熟度も量も、そしてどの地区の畑もパーフェクトだった。ただ、量もあるので熟成可能かどうかわからない」と辛めの評価だ。

ところで、エミリアンはモンペリエ大学でワイン学と農学エンジニアの学位を取得しており、在学中にシャトー・マルゴーで研修している。卒業後の4年間でニュージーランド、アメリカ、チリ、南アフリカでワイン造りを行った。

その経験が、今後のパイパーに好影響をもたらしそうだ。「例えば、収穫のバロメーターとして、レジスより私の方がブドウの味わいを重視している。ソノマのピーター・マイケルで、丘の上と下で収穫が異なること、ブドウの味見の方法などを学んだからだ。シャトー・マルゴーでは、仮説が本当に正しいかどうか科学的に細かく実験と分析を行う現場に立ち合った。ニュージーランドでは、量が多くても品質を効率よく均一に保つ方法を教わった」。多くの経験から、すべては畑から始まる、と確信した。

パイパー・エドシックでは既に畑の改革に着手しており、自社畑では4年前に農務省公認のリュット・レゾネHVEとシャンパーニュ地方独自のリュット・レゾネVDCの認証を取得。契約農家にも協力を促している。ちょうど来日の3週間前にサステイナブル農法の助っ人としてBakusという名のソーラーパネルで動くロボットが到着した。しかしまだ手は加えられると考えている。

また、醸造については、フルーツとミネラル&トーストのバランスが、今までは後者の方が少し優っていたが、今後はフルーツの要素を優勢にしたいと考えている。例えば、圧搾や醸造のプロセスによっても可能だがSO2を若干減らすこともひとつの方法だという。

「プレッシャーがない、といえば嘘になる。ただ、毎日できる限りのことを行い、より広い考え方をするよう心がけている。扉を閉じることなく、何ができるのかをじっくり考えて試みたい。そして、複雑ではあっても誰もが楽しめる、微笑みかけるようなシャンパーニュを、シリアスに造っていきたい」。一目見て、若い、と感じたエミリアンだが、既にシェフ・ド・カーヴとしての風格も見せた。(Y. Nagoshi)

 

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