歴史ある城と最新設備の融合 シャトー・ド・サントネイ

かつてブルゴーニュ公国の王フィリップ・ル・アルディが所有していたシャトー・ド・サントネイ。販売責任者のステファン・シャレイロンが来日し、最新情報を披露した。

 

生物多様性への取り組み

シャトー・ド・サントネイは9世紀に建設された城で、1395年にガメイをピノ・ノワールに植え替えるように勅令を発したブルゴーニュ公国の王フィリップ・ル・アルディが所有していた。ブルゴーニュの伝統的な鮮やかでモザイク柄の屋根は当時の豊かさの象徴であり、その所有者の財力をも物語っている。

しかし、世界遺産に匹敵するほどのシャトー・ド・サントネイも近年のブルゴーニュの地価高騰の煽りをうけ、2010年に相続の危機を迎えた。当時80haあった自社畑を相続のために手放すしかなくなったのだ。そこでフランスの大手総合金融機関クレディ・アグリコールの傘下に入ることとなった。

現在、その安定した経済基盤から約95ha(メルキュレイに60ha、コート・ドールに35ha )のブドウ畑を所有し、「質の高いワイン造りのために発展を続けている」最中だ。例えば、彼らの畑は過去25年にわたり化学薬品の使用を減らしており、2004年にブルゴーニュで初めてのテラ・ヴィティスを認証、さらに2015年からはLa Haute Valeur Environnementale (HVE) 高環境価値認証レベル3を獲得している。生物多様性の観点から、2016年にはブドウ畑の近くに養蜂場を設置し「使用された技術が環境に非常に敏感なミツバチに無害であることを確認した」という。2014年の醸造施設への大規模投資によりパーセルごとの醸造も可能になった。

 

クラシカルなヴィンテージ2017年

シャトー・ド・サントネイ販売責任者のステファン・シャレイロン

「2017年は、冬は降雨量が少なく春は芽吹きが早かったためかなり心配したが、4月になると十分な雨と同時に暖かさも続き、満足な開花時期を迎えた。収穫は9月6日に始まり、量的にも十分でブドウの質の良さを楽観的に感じることができた。ワインにはフレッシュ感やミネラル感がある。果実に厚みがあるというよりは、ブルゴーニュらしいクラシカルな年だ」。

 

Saint-Aubin En Vesvau 2017

100% Chardonnay(樹齢15年以上)、4.11ha

石灰が非常に多い畑で、40樽分を造っている。しっかりとした強いアロマ、厚みのあるフルーツ(洋梨、桃、アプリコット)、トースト、ナッツ、少し白胡椒、濡れた石の香りを感じる。しっかりとした酸があり、スパイシー。新樽20%、12カ月間熟成。

 

Mercurey 1er cru Les Puillets 2017

100% Pinot Noir(樹齢30年)、7.3ha

丘の中腹にある畑で、畑を囲む林は余分な水分を吸収し、ブドウを北風から保護する。「メルキュレイにはたくさんの区画を所有しており、ブルゴーニュの生産者の中で一番多い。一般的に白ワインの割合が15%に満たない村だが、シャトー・ド・サントネイは分析の結果、土壌がシャルドネに向いているとわかり所有面積の25%をシャルドネに植え替えた。2015年に植え替えをしたから、ファーストヴィンテージは2020年になるだろう」。ワインは深みのある濃いガーネット色で、熟したプラムやリコリスの香りが顕著に現れている。フルーティーさがありながらはっきりとしたタンニンも感じられ、土のようなニュアンスが存在し、複雑な味わい。

 

Beaune 1er cru Montée Rouge 2017

100% Pinot Noir、0.8ha

粘土質主体で、特に鉄分が多いので「丘に位置する赤い土壌」という意味から畑名がついている。ワインの特徴は赤いフルーツの濃縮した味わい、ナツメグのようなスイートスパイスの風味も。引き締まった酸味は健在で、成熟したタンニンがワインにボリューム感を与えている。

 

Santenay 1er cru La Comme 2017

100% Pinot Noir(樹齢40年以上)、0.7ha

「この畑は、まさにシャトーの向かいに位置している。一般的にブルゴーニュでは丘の上部の冷涼なところにシャルドネ、中腹にピノ・ノワールを植える。しかしシャトー・ド・サントネイは逆で、丘の上部にピノ・ノワールを植えている。石灰質の強い土壌のテロワールが、ミネラル感の強いワインの特徴に現れている。2017年は特にそれを感じやすい」。滋味深く複雑な味わいで、豊かな酸となめらかなタンニンが味わいをタイトに感じさせるが、ピノ・ノワールらしい甘やかな赤系果実の風味が全体を覆っている。(Rie Matsuki)

輸入元:ラック・コーポレーション

 

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