比類なきスタイルを表した シャンパーニュ・ドゥヴォーの 「コレクション・D」と「ラ・コート・デ・バール」

1846年創業のシャンパーニュ・ドゥヴォーは、南部のコート・デ・バールにある。1991年に入社したミッシェル・パリゾは、1999年に醸造最高責任者に就任した。彼の探究心と品質へのこだわりにより誕生したのがコレクション・Dだ。

 

専用区画のブドウだけ

コレクション・DにはキュヴェD、ウルトラD(エクストラ・ブリュット)、Dロゼ、Dミレジメと、4つのキュヴェがあるが共通点がいくつかある。そのひとつが自社畑と傘下の畑から厳選した区画のブドウだけを用いていることだ。

加えて、クール・ド・キュヴェと呼ばれるいわゆる一番搾りの中でも最も質の高い真ん中の部分しか使わない。よりポテンシャルの高い果汁のため、味わいのバランスが取れるまでに時間がかかる。だから、瓶内熟成期間を最低5年へと延長した。

また、複数タイプのリザーヴワインを保有している。ひとつはコート・デ・ブランのシュイィの特別な区画のシャルドネだけを、ステンレスタンクにてソレラ式で保管。14,000ℓの大樽で1995年からのソレラ式のリザーヴワインは、毎年5%ずつ循環させる。その他にも3年ごとに更新する7,000ℓと14,000ℓの大樽のリザーヴがある。質の高い多くの選択肢があることで、より精度の高いブレンドが可能になった。

シャンパーニュ産オークの樽

2001年から、全体の10%の1次発酵は300ℓの木樽で行なっており5月までシュール・リーで保管している。

「樽により特に香りにおいて複雑性が増す。また、オリによりシルキーな口当たりとともにクリスピーな印象も得られ、この9か月という期間がちょうどバランスが取れてなじみがよい」。

当初はハンガリーやフランスの他地域産オークだったが、ランス大学との研究の結果シャンパーニュ地方産オークでも問題ないとわかり、近隣の素材を用いた方が自然環境にもよいとの判断から、2006年からはリザーヴ用も含め全てアルゴンヌ、モンターニュ・ド・ランス、オッテなどのオークを用いている。

毎年研究や試作を重ね「長いプロセスを経て、技術的、戦略的に変えてきた」。ミッシェル・パリゾによりますます進化していくドゥヴォーの今後は見逃せない。(Y. Nagoshi)

 

 

ウォンズ2019年2月号は
特集「沸き立つ日本のビール類市場」。
ウォンズのご購入・ご購読はこちらから
紙版とあわせてデジタル版もどうぞご利用ください!

WANDSメルマガ登録

関連記事

ページ上部へ戻る