特集 ウイスキー/値上げ後も伸長続き、8年連続プラス成長に

昨年は、国産、輸入とも有力銘柄の値上げが相次ぎ、その後の需要動向が注目された日本のウイスキー市場だが、依然として伸長を維持している。特に、スタンダード市場が活性化しており、今後のランクアップ策も注目されるところだ。

ただ、国産ウイスキーについては、現在、原酒不足で一部では出荷調整が続くなど、新たな施策の展開には制約条件がある。一方、輸入ウイスキーはその間隙を埋めるかのように、積極攻勢が続いている。特に、国産大手メーカーによる世界5大ウイスキーの提案活動によって、スコッチやバーボン、カナディアン、アイリッシュのそれぞれが持つ個性にスポットライトが当てられることで、市場活性化に向けた新たな起爆剤となるか注目されている。

 

伸び率は輸入が国産を上回る

昨年の日本国内におけるウイスキー消費量は国産・輸入合計で1桁台後半での伸びとなった模様だ。公表されている昨年1~9月のウイスキー課税量(国税庁)は、国産が8万9670kl(8.4ℓ換算で1067万5000ケース)、前年比107.5%、輸入が1万6940kl(同201万7000ケース)、同110.0%。国産・輸入合計は10万6610kl(1269万2000ケース)、同107.9%で推移しており、年間でのプラス着地は確実。これは8年連続の成長となる。

なお、速報ベースで10月までの国産ウイスキーの課税移出数量(日本洋酒酒造組合)は同106.8%、スコッチウイスキー(貿易統計)の輸入量は同115.0%で推移しているので、伸び率は輸入が国産を大きく上回ったとみられる。

 

輸入はスコッチが伸びを牽引

シングルモルトスコッチウイスキー対日輸出量20年推移

英国スコッチウイスキー協会(SWA)がまとめた2016年1~10月までの瓶詰スコッチウイスキーの対日輸出量は109万9931ケース(アルコール分40%、1ケース8.4ℓ換算)で前年比114.2%。このうち、シングルモルトは16万8009ケース、同97.0%と前年を下回っている。ただ、ブレンデッドモルトを含めたモルトウイスキーは19万3406ケース、103.6%と堅調な伸び。

一方、ブレンデッドスコッチは90万6525ケースで同116.7%となり、スコッチウイスキー全体の伸びを牽引している。

昨年まで3年連続して2割増と伸長してきたシングルモルトは、ここにきてややブレーキがかかっている。これは新興国需要の拡大により、モルトウイスキーのタイト感が増しているからだ。実際に一部有力銘柄では入手困難な状況が続いている。さらに、英国のEU離脱問題が今後どう影響するのか注目される。

 

日本も新規蒸溜所設立相次ぐ

世界的なウイスキー需要の拡大を受けて、主要生産国では生産増強や新規蒸溜所の建設ラッシュが続いている。米国では新たに400件も増えたといわれる。

日本でも同様に、ウイスキーの新規免許取得件数がここ数年増加している。昨年は本格的なウイスキーづくりに向けて新規蒸溜所の設立が相次いだ。

日本のクラフトディスティラリーの草分け的存在であるベンチャーウイスキーの秩父蒸溜所と新規蒸溜所の設備状況などを比較したのが別表である。原酒製造量はほぼ100kl前後(アルコール分60%換算)で共通しているが、蒸溜釜や発酵槽のサイズ、さらにその使い方も異なり、それだけ個性的なウイスキー造りを行う生産者が増えたことを意味する。

ウイスキーは蒸溜してもすぐには出荷できない。このため、ガイアフローの静岡蒸溜所では、樽詰ウイスキーを事前予約する「プライベートカスク」のビジネスを開始したところ、受注状況は順調だという。新規蒸溜所からはいずれも2020年の東京五輪までには、第一弾商品がリリースされる見通しだ。(A.Horiguchi)

日本の新規ウイスキー蒸溜所の設備状況
蒸留所名 蒸溜釜 発酵槽
初溜釜 再溜釜
厚岸蒸溜所 1対2基 5.0kl 3.6kl 6基 ×5.0kl
静岡蒸溜所 1対2基+1基 5.0kl 3.5kl 4基 ×8.0kl オレゴンパイン
津貫蒸溜所 1対2基 5.8kl 2.7kl 5基 ×6.0kl
秩父蒸溜所 1対2基 2.0kl 2.0kl 8基 ×3.1kl ミズナラ

つづき(世界に広がる国産ウイスキー、新たなカクテル提案はじまる)はウォンズ2017年1月号をご覧ください。ウォンズのご購入・ご購読はこちらから

画像:東京・表参道に昨年10月3日にオープンしたTokyo Whisky Libraryの店内

 

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