シャンパーニュ・ランソン Champagne Lanson

1760年創業の最も長い歴史を誇るシャンパーニュ・メゾンとしてその名を馳せ、世界中で愛され続けるランソン。2006年にボワゼル・シャノワール・シャンパングループ(BCC)の一員となり、経営体制が変わって以来、新たな視点でダイナミックな取り組みが行われている。特に近年力を注ぐのは、エコロジーを意識したブドウ畑への転換だ。また単一畑や単一クリュに焦点を当てたこだわりのキュヴェも登場している。シャンパーニュ・ランソンの醸造最高責任者エルヴェ・ダンタンに、ニュー・リリースのキュヴェや近年の取り組み、今後の展望について話を伺った。

 

ビオディナミ、単一クリュの畑から誕生した「グリーン・ラベル」

エコロジーのイメージカラーであるグリーンの名の付いた新たなキュヴェ「グリーン・ラベル」が、昨年末、世界に向けてリリースされた。このキュヴェの特殊性は、まず2011年から所有するヴェルヌイユ村の自社畑のブドウのみを使用した「単一クリュ」であること。そして購入以前からずっと、有機栽培やビオディナミ農法で育まれていた特別なブドウ畑であることだ。

 

シャンパーニュ・ランソンのフィリップ・ベジョ社長は生気みなぎる畑を目にした時、その有機栽培の手法を継続し、より発展させようと奮い立ったという。そして個別に醸造、熟成し、他の畑のブドウとはブレンドせず、単独のキュヴェを造る決断をした。これまでランソンの代表的なキュヴェでは、100ものクリュをブレンドして、絶妙のバランスを織り成してきた。このグリーン・ラベルは、これまでとはまったく異なるアプローチで新境地を見せている。

 

ヴェルヌイユ村は、森林の連なるマルヌ渓谷自然公園の西側で、マルヌ川右岸に位置している。ランソン社が所有する16haのドメーヌは約30区画あり、ピノ・ノワールを中心に、ピノ・ムニエ、シャルドネの3品種が植えられている。粘土石灰岩が多く含まれた土壌であり、フルーティでピュア、ミネラルに由来する張りや、まろやかな味わいが育まれるのが特徴だ。そしてこの土壌で有機栽培やビオディナミ農法を実践することによって、フルーティさに磨きがかかり、アロマがより豊かになると実感しているそうだ。2011年以降、ABやエコセールなど有機栽培の認証を、そして今年からはビオディナミのデメテールの認証も得ている。

 

畑の病害対策にはボルドー液や硫黄をベースにした調剤を使用するほか、畑の健康維持や向上のため、イラクサやスギナなどのハーブ、フルーツのビタミンCなどの調剤も施している。土壌が活気づくよう、畑は他の植物と共生させ、空気の通りをよくするための耕作も行っている。作業のタイミングは月の満ち欠けなど天体の運行も考慮に入れる。

醸造は区画ごとにステンレスタンクで行っている。一番搾りのラ・キュヴェのみを使用し、低温でアルコール発酵をする。他のキュヴェと同様、マロラクティック発酵は行わず、フレッシュさや張りが保たれた状態で、6か月間タンクで熟成し、そして瓶内熟成は約4年間と長期間に及ぶ。今回試飲したグリーン・ラベルは、2013年ベース(90%が2013年の収穫、10%がリザーヴワイン)だ。裏ラベルにはデゴルジュマンの日にちも「2018年3月13日」と記されている。ドザージュは6g/L。

香りは、カモミールやミモザなどの小さな花や白い花の可憐な印象から、洋ナシ、ミラベルなどの白や黄系フルーツ、ほのかに蜂蜜の風味へと展開する。そして味わいやテクスチャーは、ミネラルに由来する塩味や張りに支えられながら素直に伸びゆく印象だ。瓶内熟成を4年間じっくりと重ねた結果、フレッシュな張りのあるタッチに程よい丸みも加わり、飲み心地もスムーズに仕上がっている。生産本数はごく限られており、またベースとなる収穫年の割合が多いため、年によってその生産本数は変動する。

このグリーン・ラベルは、シャンパーニュ・ランソンの未来に向けての先導的な役割も果たしているという。ヴェルヌイユの畑での有機栽培、ビオディナミ農法の徹底した研究や実践の成果をきっかけに、所有畑だけでなくパートナーである契約農家も含めたランソン社全体で、よりエコロジーを意識した栽培へ転換するよう大きく舵を切っている。そして今年からはシャンパーニュ地方の永続的ブドウ栽培の認証取得に向けて、契約農家の教育や訓練を一層強化しているという。将来的にはすべてのキュヴェにおいて、環境を意識した栽培法によるブドウを使用していく予定だ。(T. Inoue)

 

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11月号は「シャンパーニュ&スパークリングワイン」特集です。
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