- 2026-7-10
- NEWS, Wine, フランス France
- ボジョレー

2026年5月、ボジョレーワイン委員会のマネージングディレクター、オリヴィエ・バドゥロー氏が来日し、都内の「青山 星のなる木」で試飲セミナーと和食ペアリングディナーを開催した。講師を務めたのは東京ソムリエギルドのヘッドソムリエ、松永文吾氏。バドゥロー氏はボジョレーの質の高さと多様性を伝えたいと語り、松永氏も「ボジョレー・ヌーヴォー」という固定観念が今なお産地の可能性を狭めていると指摘した。
産地データ
ボジョレーには12のAOCがある(ボジョレー、ボジョレー・ヴィラージュ、10村のクリュ)。85の村にまたがる11,578haの畑に、2,000超のドメーヌとネゴシアン、9つの生産者組合がある。栽培品種の95%は黒ブドウのガメイで、残る5%はシャルドネ。生産量の内訳は赤93%、白5%、ロゼ2%だ。
生産の約29%は世界150か国へ輸出される。2025年の輸出先第1位はアメリカ、第2位は英国、そして第3位が日本である。
斜面の傾斜が30%または標高500m以上の畑は「英雄的なブドウ栽培(viticulture héroïque)」と呼ばれ、機械作業が困難なことから収穫はすべて手摘み。「英雄的なブドウ栽培」の区画の数は890に及び、産地全体の約3割を占めるという。
土壌が描き分ける個性
青い石(ピエール・ブルー):海底由来で塩気を含み、ワインに黒い果実味とスパイスを与える。硬く痩せた土壌が小粒・高品質のブドウを実らせる。モルゴンが典型。
ピンク色の花崗岩:エレガンスとフィネス。ワインは、繊細なタンニンに、赤い果実とスミレの香りが特徴。ムーラン・ナ・ヴァンが典型。
片麻岩:柔らかなスパイスと果実味。クリュ・ボジョレー最北端のサン・タムールが典型。
石灰岩:主にシャルドネを栽培し、ボジョレーの白を生む。
以下は試飲セミナーとディナーで供されたワインの一部。
ドメーヌ・シャサーニュ「ジュリエナ レ・ビュシュラ 2022」(AOCジュリエナ)
樹齢50年、青色火山岩の単一区画。ハーブとスパイス、ダークベリー、ブラックベリーの黒系果実。アタックはなめらかで、中盤から余韻にかけてスパイスとタンニンが立つ、縦の骨格がしっかりした一本。
ドメーヌ・デ・ニュグ「ムーラン・ア・ヴァン 2020」(AOCムーラン・ナ・ヴァン)
ややミーティーでスパイシー。果実の凝縮度が高く、タンニンもしっかり。伸びやかな酸を持つ。
ヴィニュロン・デ・ピエール・ドレ「レ・ペピット シスト 2022」(AOCボジョレー)
南西部の片岩土壌。熟した果実、ダークベリー、スパイス。しっかりとしたタンニンの中に、しいたけを思わせるうま味と和のニュアンスが漂う。

和食とのペアリング
後半は、「星のなる木」総料理長・石井敬道氏による懐石とのディナー。松永氏はペアリングの設計について「和食は品数が多く、皿ごとにワインを替えると現場が回らない」と指摘。そこで1本で幅広く受け止められるワインが理想としつつ、要素の多い八寸には白とロゼの2本をあえて並べ、皿の複雑さを受け止める設計を見せた。
シャトー・ティヴァン「クロ・ド・ロシュボンヌ 2023」(白)
桃の果実味に心地よいスパイス感が重なる。濃厚な翡翠豆腐や辛子、蛍烏賊の煮物のうま味とマッチ。
ドメーヌ・レ・ロッシュ・ブルー「ボジョレー・ヴィラージュ ロゼ ラミューズ・ブッシュ 2023」
自然酵母発酵、セニエ法のロゼ。亜硫酸は瓶詰め時のみの低介入。土っぽさと広がりのある酸、チェリーの果実味が料理の味を補助する。
ジュリアン・スニエ「モルゴン 2022」(AOCモルゴン)
10日間のマセラシオン・カルボニック後、さらに10日間のセミ・マセラシオン・カルボニック。8〜11か月228ℓのオーク樽で熟成。やや動物的なニュアンス。黒い果実味のふくよかな味わい。モルゴンは長期熟成のポテンシャルの高いクリュ。特有の野生的な香りが、行者ニンニクの高い香りと調和していた。
シャトー・デ・ジャック「ムーラン・ア・ヴァン シャトー・デ・ジャック 2022」(AOCムーラン・ア・ヴァン)
3〜4週間のマセラシオン後、コンクリートタンクとオーク樽で10か月熟成。引き締まった骨格で、きめ細やかなタンニン、バランスの良い一本。スパイスをしっかりと感じ、白甘鯛山菜焼きと好相性。


(N. Miyata)
















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