サロン・ドゥラモットのディディエ・ドゥポン社長インタビュー

          copyright Mathieu Garcon

2020年に創立260周年を迎えたドゥラモット。コロナ禍のなか、大の日本贔屓として知られるサロン・ドゥラモット社のディディエ・ドゥポン社長も来日が叶わず、昨年12月にフランスと日本をネットで繋ぎ、輸入元のラック・コーポレーションでテイスティングインタビューが行われた。

ドゥラモットはシャルドネの聖地、コート・デ・ブランのメニル・シュール・オジェ村を拠点とするメゾン。幻のシャンパーニュと言われるサロンの姉妹ブランドに位置付けられている。縦横にラインナップを広げるメゾンが多い中、わずか4アイテムのみに集中していることも大きな特徴だ。

 

その中で最もスタンダードなアイテムが「ブリュット ノンヴィンテージ」。シャルドネ55%、ピノ・ノワール35%、ムニエ10%のアッサンブラージュとなっている。

シャルドネが55%も占めるところがいかにもドゥラモット。そのシャルドネの産地はコート・デ・ブランのグラン・クリュ、ピノ・ノワールもモンターニュ・ド・ランスのグラン・クリュ産というこだわりだ。

瓶内熟成期間は最低36か月と長く、一方、ドザージュは6.5~7g/ℓと控えめ。オリとの接触により十分なボディが与えられているので、糖分でふくよかさを補う必要はないとの判断によるものである。

とはいえ、昨今のトレンドである糖分無添加のブリュット・ナチュールには否定的で、「ドザージュは塩コショウのようなもの。素材の風味をより高めるために必要」と、ドゥポン社長は主張する。

現行はベースは2016年産。シャルドネ主体のエレガンスにピノ・ノワールがボディと骨格を補い、見事な調和を生み出している。アペリティフから魚介や家禽類にいたるまで、幅広い活躍が期待されるだろう。

「ブリュット ブラン ド ブラン ノンヴィンテージ」はコート・デ・ブランの3つのグラン・クリュ、メニル・シュール・オジェ、オジェ、アヴィーズのシャルドネをアッサンブラージュしたもの。デゥポン社長曰く、「メゾンの名刺代わり」である。

およそ10%含まれるリザーヴワインは村ごとにステンレスタンクで管理され、最も古いもので10年ほど前の収穫。瓶内熟成期間は最低4年と前出の「ブリュット ノンヴィンテージ」よりも1年長く、ドザージュは6g/ℓとエクストラ・ブリュットが名乗れるほど少ない。

ピュアで瑞々しく直線的だが、長期熟成により奥行きも加わる。アペリティフや冷前菜、地味豊かな北海道厚岸の生牡蠣には抜群の相性に違いない。

 

「ブラン ド ブラン ミレジメ」の最新ヴィンテージは2012年だ。以前はクラマン、アヴィーズ、オジェ、メニル・シュール・オジェの4グラン・クリュから収穫されたシャルドネをアッサンブラージュしていたが、2008年ヴィンテージからこれにシュイィとオワリーを加え、コート・デ・ブランにある全グラン・クリュのアッサンブラージュとなっている。

「6つのグラン・クリュから造られたブラン・ド・ブランはドゥラモット以外にない。まさにコート・デ・ブランを総括したブラン・ド・ブラン」。

新たに加わったクリュの特徴として、「シュイィはクラマンと似ていて丸みがあり、一貫性がある。オワリーはメニルっぽく、ミネラル感と酸味に富む」と言う。

2012年は寛容で親しみやすいヴィンテージだが、ドゥラモットのブラン ド ブラン ミレジメも例外ではなく、アタックが柔らかく、包み込むような味わい。その上で、洗練された酸味とヨード感を伴うミネラルのニュアンスが、骨格を形作っている。

「日本に行って、蟹が食べたい」とドゥポン社長。日本海のズワイ蟹となら、さぞや素晴らしいペアリングとなることだろう。

 

最後に「ブリュット ロゼ」。これもドゥラモットらしいロゼで、アッサンブラージュではなくマセラシオンによるもの。マセラシオンのロゼ・シャンパーニュは一般にピノ・ノワールのみから造られるが、これは80%のピノ・ノワールと20%のシャルドネを同時に圧搾、マセラシオンして造られる。

「シャルドネとピノ・ノワールの収穫には2週間の開きがある。熟したシャルドネと熟したピノ・ノワールを同時に収穫できるタイミングの幅は本当に狭い」と言う。

ピノ・ノワールはブージィとトゥール・シュール・マルヌ、シャルドネはコート・デ・ブラン。リザーヴワインは5%程度、熟成期間も24ヶ月に留めている。

「ロゼにはフレッシュさ、爽快さ、瑞々しさを求めている」とドゥポン社長。

マセラシオンのロゼと言うと、赤い果実のアロマが華やかで果実味の強いものが多いが、このロゼはむしろフローラルで軽やか。真夏の昼下がりに味わいたいロゼ・シャンパーニュだ。

どのキュヴェも個性的でキャラクターが立っており、看板アイテムのブラン・ド・ブランばかりでなく、ブリュットやロゼでもコート・デ・ブランのシャルドネが大きな役割を担うドゥラモット。姉にあたるサロンに似て、つくづく玄人好みのシャンパーニュと言えよう。

そしてここでOne More Thing。ドゥポン社長から赤ワインの紹介があった。ドゥポン社長の友人であるアリエル・サビナが、母国アルゼンチンのメンドーサで造る赤ワイン「ティアノ&ナレノ」だ。

2015年ヴィンテージは、マルベック85%、カベルネ・フラン15%のブレンド。メンドーサ産マルベックというと、濃厚でオーク風味の強いワインが多いなか、意図的にフレッシュさとデリケートさを前面に打ち出している。

「カベルネ・フランが軽やかさを与え、新樽はいっさい使わず、樽熟成期間も6か月に止めている。肉ばかりか魚介類にも合わせられる赤ワイン」。

サビナの祖父が植えたという、樹齢85年に達するマルベックがワインに骨格を与え、若いうちでも楽しめるが、熟成ポテンシャルも極めて高そう。生産量は普通ボトルが4,500本、マグナムが500本と、サロン並みのレア度ながら、JALのファーストクラスでサービスされた初めてのアルゼンチンワインと言う。

ドゥラモットのブリュットで乾杯し、ブラン ド ブラン ノンヴィンテージで前菜の生牡蠣をいただき、ブラン ド ブラン 2012で甲殻類を楽しんだ後に、このティアノ・ナレノでメインのローストした牛肉を食す。デザートにバラの風味のムースとブリュット ロゼ。理想のディナーコースではないだろうか。

(text: Tadayuki Yanagi)

輸入元:ラック・コーポレーション

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