テイスト・ピンク! プロヴァンスのロゼワイン2020年10選&ペアリングフード

暑い夏や晴れの日に飲みたいワインは断然ロゼ! 世界のロゼワイン人気を牽引しているプロヴァンスのロゼワイン、その最新ヴィンテージ2020年が続々と日本に入荷している。プロヴァンスのロゼワインならでは、そしてよりおいしく愉しく飲むためのおすすめフードとは。

「テイスト・ピンク!」と題したマスタークラスが、食レコの瀬川あずささん、ココット・キュイジーヌのファニー・フェルナンデスさんのコンビで行われた。

プロヴァンスのロゼワインについて解説した瀬川あずささん(右)と、相性の良いおつまみを披露したファニー・フェルナンデスさん(左)。

 

<プロヴァンスのロゼとは>

地中海を臨むプロヴァンス地方はフランス南西部に位置し、ニース、カンヌ、マルセイユなど世界中の人が憧れるヴァカンスのデスティネーションを抱えている。そしてこのプロヴァンスには、「コート・ド・プロヴァンス」、「コトー・デクス・アン・プロヴァンス」、「コトー・ヴァロア・アン・プロヴァンス」の3つのAOP(原産地統制呼称)がある。これら3つのアペラシオンから生まれるワインの90%がロゼ。そう、プロヴァンスは世界で唯一ロゼワインに特化した産地なのだ。その証拠に、様々な実験を通して、ワインの中で最も醸造が難しいとされるロゼの製造プロセスを改善し続けるために研究センターも設立している。ブドウ品種、栽培方法、収穫時期、醸造方法など、毎年研鑽を積み重ねているから、プロヴァンスのロゼの質は常に進化している。

プロヴァンスのロゼは色合いが華やかなことに加えて、多彩なアロマも魅力のひとつ。その香りはこのように大別される。

柑橘類:グレープフルーツ、タンジェリン、オレンジ

トロピカルフルーツ:パイナップル、パッションフルーツ、ライチ

黄色い果実:ピーチ/ネクタリン、アプリコット、メロン

赤い果実:ストロベリー、ラズベリー、レッドカラント

花:バラ、ライラック、サンザシ

植物:松ヤニ、スターアニス、ハーブ

スパイス:シナモン/ナツメグ、バニラ、ピンクペッパー

実際に目の前に注がれたプロヴァンスのロゼから、一体どの香りが見つけられるのかとワクワクする。例えば2020年は、生育が早く始まり、暑くて乾燥した夏に恵まれて8月半ばから素晴らしい条件のもとで収穫が始まった。くだんの3つのAOPの特徴は、以下の通り。

コート・ド・プロヴァンス:花のような香りと黄色い果実のニュアンス。バラ、メロン、ピーチ、ストロベリー、ラズベリー、チェリーの香りが感じ取れる。

コトー・デクス・アン・プロヴァンス:サーモンピンクの外観と、フローラルで力強いアロマ。酸味のある赤い果実、柑橘類、白い果肉の果実の香りが特徴的。

コトー・ヴァロア・アン・プロヴァンス:フローラルで多彩な果実が感じられる、複雑で表情豊かな香り。柑橘類、トロピカルフルーツ、赤い果実の香りが顕著。

 

<ロゼワインにまつわる思い込み>

さて、ロゼワインについて何となく勘違いしていることはないだろうかと、いくつかの質問が投げかけられた。

問1:ロゼワインは歴史が浅い?

答え:実はロゼワインは最も古いワインのひとつで、プロヴァンスでは2,500年前から造られている。

問2:ロゼワインは簡単に造れる?

答え:ロゼワインは、赤ワインと白ワインを混ぜて造るのではなく、質の高いロゼを造るには専門知識や豊かな経験を積んだ匠の技が必須。新鮮さとアロマの維持という点において、実は生産が最も難しいワイン。

問3:ロゼワインはどれも同じ?

答え:ロゼワインも産地によって特徴が異なる。中でもプロヴァンスは、気候、ブドウ品種、専門的な知識の豊かさなどにより、辛口でさっぱりとしてタイトで、しかも香り高いロゼワインを生む比類なき産地。

問4:ロゼは最新ヴィンテージしか飲めない?

答え:最新ヴィンテージにとどまらず楽しめる。時間の経過とともに、色はサーモンピンクに変化し、アロマは徐々にフローラルでスパイシーになる。とはいえ、通常1〜3年以内に飲むことが推奨される。

問5:ロゼはアペリティフ専用?

答え:ロゼワインは、食前酒にも食中酒にも適していて、様々なタイプの料理と好相性。とくに昨今の食のライト化、フレッシュな食材が入手しやすくなり繊細な料理が主流になってきたことなどから、ロゼワインの人気が高まっている。

問6:ロゼは夏にだけ飲むもの?

答え:季節にかかわらず、太陽が顔を出したらロゼワインの出番! かつては夏・海・ロゼのイメージが強かったが、今では例えば紅葉の季節やクリスマスなどに食卓を華やかにするワインとして世界中で活躍している。

 

その他にもプロヴァンスワインの魅力はいくつもある。

プロヴァンスの3つのAOPには27,680haのブドウ畑があり、そのうちの32%が環境に配慮した農法(有機栽培とサステイナブル農法)で、フランスでも最先端地域に挙げられる(ちなみに、2030年までに100%オーガニック認証またはHVE認証取得を目指している)。その中でも有機栽培の割合(転換中も含む)は、フランス全体では14%なのに対し、プロヴァンスにおいては29%と大変比率が高い。この数字に貢献しているのは、年間2,800時間の日照量(晴天日数250日)と雨の後に必ず吹いてブドウの木を乾燥させるミストラルと呼ばれる突風といった気候条件、それに生産者の意識の高さが加わる。

そして、ジョージ・ルーカス、ブラッド・ピット、カイリー・ミノーグといった世界のセレブがプロヴァンスのロゼワインに投資している。

こういったことから、今プロヴァンスは世界で最もクールなワイン産地で、プロヴァンスのロゼは今の時代の流れに最もぴったりなワインだと言える。

<プロヴァンスのロゼと相性の良いおつまみ>

プロヴァンスのロゼワインは様々なタイプの料理と相性が良いが、ちょっとした工夫で驚くほど美味しさを愉しめるおつまみがあると言う。

まず、プロヴァンス風の一皿を作るには「プロヴァンス ハーブ ミックス バター」を準備するのがお勧めだ。タイム小さじ1、ローズマリー小さじ1、オレガノ小さじ1/2、セージ小さじ1/2を、30分前に冷蔵庫から取り出しておいたバター50gに混ぜる。ラップにバターを乗せて棒状に成形。冷凍保存も可能なので、必要な分だけ切り分けて使える。タイムとローズマリーが必須で、この2つを同量使用するのがコツ。

 

3つのAOCに合わせると

コトー・デクス・アン・プロヴァンス:パン・ド・カンパーニュにプロヴァンス ハーブ ミックス バターを塗り、イクラをたっぷり乗せて金箔で飾る。コトー・デクス・アン・プロヴァンスの伝統的な味わいは、成熟した果実のジューシーでまろやかなので、大トロやイクラなど脂ののった魚介類に相性が良く、現地ではブイヤベース、アイオリソースを使った料理とよく合う。

コトー・ヴァロア・アン・プロヴァンス:バゲットにプロヴァンス ハーブ ミックス バターを塗り、へしこサバを乗せてエディブルフラワーで飾る。コトー・ヴァロアは、はっきりとした味わいなので、寿司、素麺、蕎麦などにも相性が良い。

コート・ド・プロヴァンス:パン・ド・カンパーニュにプロヴァンス ハーブ ミックス バターを塗り、山羊乳のチーズ、胡桃と蜂蜜を乗せる。

 

さあ、プロヴァンスのロゼワインを冷やして晴れの日を愉しんではいかがだろうか。

取材協力:プロヴァンスワイン 委員会

こちらも併せてご覧ください↓

「この夏はプロヴァンスのロゼ! ロゼワインのトレンドに火をつけたプロヴァンスの魅力とは」

画像(下):ワイン名(AOP)<生産者名>輸入者

左から、トゥールマリン(コート・ド・プロヴァンス)<バルトン&ゲスティエ>カステルジャパン、リュミエール(コトー・ヴァロア・アン・プロヴァンス)<エスタンドン>ロゼレガンス 、テール・デ・ザンジュ(コトー・デクサン・プロヴァンス)<シャトー・パラディ>出水商事、シャトー・ド・カラヴォン ロゼBIO(コトー・デクサン・プロヴァンス)<シャトー・ド・カラヴォン>カリテ・エ・プリ、ミラヴァル・ロゼ(コート・ド・プロヴァンス)<ミラヴァル>ジェロボーム、ロゼ・デュン・ニュイ(コトー・デクサン・プロヴァンス)<シャトー・ラ・コスト>サントリーワインインターナショナル、シャトー・クーサン ロゼ(コート・ド・プロヴァンス サント・ヴィクトワール)<ファミーユ・スメール>ボンヴィヴァン、トラディション(コート・ド・プロヴァンス)<シャトー・デ・ガルシニエール>アボジェ、キュヴェ・マリー・クリスティーヌ プロヴァンス ロゼ(コート・ド・プロヴァンス)<シャトー・ド・ロムラード>モトックス、カルトノワール コート・ド・プロヴァンス ロゼ(コート・ド・プロヴァンス)<メートル・ヴィニュロン>スマイル

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