2021年ボルドー・ヴィンテージ・レポート/マーク・パードーMW

2022年5月19日、BB&R主催の2021年ボルドー・ヴィンテージ・レポートがオンライン開催され、マーク・パードーMWによる2021年ボルドー・プリムールの試飲レポートが届けられた。コロナ禍の影響で、実に3年ぶりのボルドー現地テイスティングだったとパードーMW。2018、2019、2020年は大変暑い年だった。ところが2021年は夏が涼しく、ブドウはゆっくりと成熟し、フレッシュでピュア、繊細なワインが出来ている。ただし収穫量が非常に少ない(ボルドー全体で前年の30%減)。パードーMWはその理由を以下のように解説した。

●2021年の天候:厳しい春、涼しい夏、リスクの秋
4月の遅霜により大きな被害を受けた地域があった。ソーテルヌはこの霜が原因で収穫量が激減した。サンテミリオンやポムロール周辺は、比較的被害が少なかった。さらに5月と6月の大雨でベト病が発生し、とくにオーガニックの造り手にとっては困難な状況。そして雨が続くと花の受粉率も低くなるため、後に成る実の量に影響した。まとめると2021年の春は霜、雨、べと病と3つの困難に晒された。一方で7月から9月の夏は涼しく、過去3年に比べて大変暑い時期が2021年にはほとんどなかった。成熟スピードは例年より遅め。収穫時期も遅くなり9月末から始まった。ゆっくりブドウが熟すことで香りの高いワインとなるが、遅い収穫は、シーズン後半に悪天候に見舞われるリスクがある。運命を左右する出来事は10月に起きた。

●10月の大雨予報
収穫開始期、メルロは十分に成熟していたが、カベルネ・ソーヴィニヨンはもう少し熟成に時間を要する状況だった。ところが10月2日と3日に大雨の天気予報が出た。生産者たちは、大雨の前に早めの収穫を行うか、リスクをとって大雨の影響を見て、遅めの収穫を行うか、どちらかを選ぶこととなった。結果、予報が外れて大雨は降らず、涼しく乾燥した天気が続き、カベルネ・ソーヴィニヨンは十分に成熟した。この分かれ道が、2021年のヴィンテージを理解するのに肝心である。リスクをとって成功したシャトーのワインはピュアで魅力的で、例年よりさらに上質なワインが出来ている。左岸では砂利質土壌の、ジロンド川近くのシャトーのワインは抜群の出来。右岸は、とくにサンテミリオンのカベルネ・フランが成功。ポムロールはメルロに先の天候の被害が多少感じられるものの、フレッシュで繊細なスタイルに仕上がっている。

●赤はエレガントなヴィンテージ
左岸にとっても右岸にとっても大変な努力の年となった。その上で成功した赤はフレッシュでエレガント、香りが高い。力強いヴィンテージではなく、非常に濃厚なワインとなった過去3年と比べて違いが明白である。そして早めに飲み頃を迎える。中には、十分熟成のポテンシャルを期待できるものもある。ほぼ例外なく、ボルドーの偉大なシャトーはとても良いワインを造った。シャトー・ボー・セジュール・ベコはピュアで表現力がある。ドメーヌ・ド・シュヴァリエは通常よりカベルネ・ソーヴィニヨンの割合が高く、快活なワイン。シャトー・オー・バイィは過去よりも凝縮して精密。マルゴーについて言えば、過去3年はらしくない力強さがあったが、2021年はクラシック寄りで香りが高く、マルゴーらしいエレガントなワインだ。

●白は間違いなく素晴らしいヴィンテージ
2021年は白の辛口にとって最高の天候だった。2021年の白のブルゴーニュが手に入らなかったら、ボルドーをぜひ検討してほしい。複雑さと、熟成ポテンシャルを十分に秘めている、ぜひ買うべきヴィンテージである。甘口はソーテルヌもバルサックも大変上出来だが、とても収穫量が少ない。

またパードーMWは、結果的に2021年がこれだけ上出来となったのは、今の世代の知識と技術の賜物であると評した。「史上初のヴィンテージだと考えられる。とても涼しいのに、成功しているワインがたくさんあるからだ。通常の予想とは違う結果になった」。

(N. Miyata)

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