豊かな自然環境がクオリティを生む メッセージ性の強いメゾン・テルモン

写真:(左)4代目のベルトラン・ロピタル氏は、畑で過ごす時間の方が長いと言う。自社畑には古木も多く残っているようだ 。(右) CEOのルドヴィック・ドゥ・プレシ氏とタッグを組み、テルモンに磨きをかけてきたマーケティング ・ダイレクターのジャスティン・ミード氏。「ダムリーのムニエは、サクランボのコンポートのような素晴らしいアロマです」。

 

エペルネ近郊のダムリーで1912年に創業したテルモンは、「母なる自然の名の元に」をキーメッセージとして掲げている。
2020年10月レミー コアントロー グループに入り「メゾン・テルモン」と改名。原石が磨かれたかのように光を放ち始めた。

取材・文 名越康子

 

今春、「レオナルド・ディカプリオ氏が『テルモン』に出資した」とのニュースが話題を呼んだ。ディカプリオ氏は俳優というだけでなく、熱心な環境保護活動家としても知られている。これまでにも環境に配慮した企業への投資も行っており、テルモンのさまざまな活動にも賛同し投資すると決めた。

栽培醸造責任者を務めるベルトラン・ロピタル氏は、自社 畑24.5haで20年前から有機栽培を始めていた。認証を取り始めたのは2017年からで、現在72%が認証を取得。2025年に100%になる予定だ。一方で契約畑の56.5haはまだ39%ではあるが、 2031年までには100%を目指していると言う。

また、2021年春のティラージュからボトルを代えた。1本あたり、これまでより65g 軽い835g。透明ボトルはやめ、85%がリサイクルガラスで製造され使用後は100%リサイクル可能なグリーンボトルに切り替える。つまり、スタンダードも上級キュヴェもロゼもすべて同じボトルを使い、ギフトボックスも使用を禁止する。華美な外装は徹底的に排除して中身だけで勝負するという姿勢の表明でもある。

では、実際にボトルの中身はどうだろうか。スタンダードの「レゼルヴ・ブリュット」は、拠点であるダムリーのブドウを44% 用いている。ダムリーはムニエの名産地として知られているため比率が高く、シャルドネ43%、ムニエ37%、ピノ・ノワール20%。テンションやストラクチャーがあるとともにまろやかさも感じられ、バランスが素晴らしい。ベースが2017年の750mℓとともに2014年ベースのマグナムも試飲した。瓶熟成期間が長くさらに香りが華やいでいるだけでなく、香りも味わいもさらにフレッシュではつらつとしているのには驚いた。 「レゼルヴ・ロゼ」は、ベースが2015年で5年間瓶熟成されていると言うが、とてもフレッシュでバランスが秀逸。 「シャルドネにブレンドしているムニエは、ほとんど抽出していません」と、マーケティング・ダイレクターのジャスティン・ミード氏。つまり、ムニエの赤ではなくロゼ的なワインを13%ブレンドしている。だからブラン・ド・ブランに近い印象だ。

ダムリーの有機栽培のブドウのみ用いた「レゼルヴ・ド・ラ・テール」は2017年のシャルドネとムニエのみ。香りも味わいも上品で、スパイシーでフローラルなアロマがフレッシュさと穏やかなミネラル感と融合し、心地良い余韻が楽しめる。 どのキュヴェもダムリーらしさを最大限に活かし、まさにテロ ワールの特徴を体現していると感じられた。

ちょうど昨年2021年、シャンパーニュ地方は春の霜、多雨、 雹など多くの困難に見舞われた。しかし、ミード氏はこう言う。 「私たちは天候をコントロールできません。そして有機栽培を 行うには、それぞれの畑を熟知しなければなりません。しかし それにより仕事を進化させることになります」。

まずテルモンがチャレンジし、契約栽培家にも続いてもらう。 そしてこれがさらに波及していくこと願っている。常に新たな ことへのチャレンジを続け、テルモンがシャンパーニュ地方の ゲームチェンジャーになることを目指していると言う。 ブドウ畑と向き合い地道に歩んできた職人に、世界を知るセ ンスあるマーケッターとバックが付き、強力な賛同者も現れた。 実に面白いチームで、今後の活動も楽しみでならない。

「レゼルヴ・ド・ラ・テール」のボトル。2021年よりテルモンのすべてのフロントラベルに生産に関する詳細情報が記されている。目標のひとつである透明性を表している。

 

問い合わせ
レミー コアントロー ジャパン
☎ 03-6441-3030
https://rcjkk.com

 

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