ナパの多様性と卓越性を体現するラ・ペレ

右から、「カベルネ・ソーヴィニヨン セニーザ・ヴィンヤード クームズビル」「同 レッド・ヘン・ヴィンヤード オーク・ノール」「同 アルヴィウム・ヴィンヤード セント・ヘレナ」。それぞれの畑の土壌がラベルに描かれている。

「ラ・ペレ」の創業者のマーヤン・コシツキ氏。

ナパのプレミアム・ワイナリー「ラ・ペレ」は、2016年、三氏のタッグで生まれた。イスラエル出身の醸造家で、アトリエ・メルカのワインディレクターとしても活躍するマーヤン・コシツキ、北カリフォルニア出身でブドウ栽培会社を経営するピート・リッチモンド、メキシコ出身の栽培家ミゲル・ルナである。
「ラ・ペレ」はフランス語でシャベルのことだ。ラベルはボトルを上から下まで貫くような、一本のシャベルのインパクトあるデザイン。
「私たちはまず第一に、農夫である。それぞれの畑に合ったサステナブルなブドウ栽培とワイン造りのため、管理を徹底している」と、コシツキ氏は力をこめて言う。

ラ・ペレの畑は3つのAVAに広がる。その畑を管理するのは、リッチモンド氏が経営するシルベラード・ファーミング・カンパニー社だ。同社はナパ、ソノマの小規模プレミアム・ワイナリーの畑、計240haの栽培管理を行っている。ラ・ペレの畑は、ほとんどがオーガニック栽培だ。

3つのAVAは、沖積土壌の広がるセント・ヘレナ、沿岸部で海から冷涼な風が吹くオーク・ノール、ヴァガ山脈の麓のクームスヴィルだ。「カベルネ・ソーヴィニヨン ナパ・ヴァレー 2019」は、3つのAVA、6つの畑のブレンド。フレンチオーク樽で20か月、瓶で6か月熟成する。ナパ全体の特徴を表すためのキュヴェという。

 

3つのAVA、単一畑で表すナパの多様性

一方、3つのAVAの、単一畑のキュヴェも限定生産している。3月に開かれた、輸入元・中川ワインの試飲会で、コシツキ氏がそれを特別に披露した。
いずれもカベルネ・ソーヴィニヨン100%で、ヴィンテージは2019年。醸造も共通している。フレンチオーク樽で10か月熟成し、そこから最高のロットを選び、さらに10か月熟成(新樽75%)、瓶で6か月熟成する。

「セニーザ・ヴィンヤード」はクームスヴィルAVA。火山灰がかたまった堆積土壌で、サン・パブロ湾から霧と涼風の恩恵を受ける。細やかなタンニン、ハーブ香、みずみずしさがその個性だ。
「レッド・ヘン・ヴィンヤード」はオーク・ノールAVA。石や砂利の沖積土壌で、水はけが良い。特徴はピュアな果実味。しっかりと骨格もあるが、同時に優美である。そのバランスが良い。
「アルヴィウム・ヴィンヤード」はセント・ヘレナAVA。石の多い沖積土壌で、昼夜の寒暖差が激しい。1981年植樹の古木が残る。近年の気候変動対策のため、この畑では、VSPではない仕立てで管理する。樹の高い位置で枝を伸ばして葉の傘をつくり、その下にブドウの房が成ることで直射日光を避ける(写真を見せてもらうと、イタリアのペルゴラに近い)。この畑のワインは、非常に堅牢なタンニンが特徴。果実味は豊かで、高品質なボルドーのようだ。

コシツキ氏は「それぞれの畑は、車で20分ほどの移動距離。とても近いのに畑は多様性に富む。だからこそ、畑ごとの適正な管理が重要」と言う。ナパの多様性を改めて教えてくれた。

(輸入元:中川ワイン)

WANDSメルマガ登録

関連記事

ページ上部へ戻る