カンティーネ・リッツァーノ、世界に挑戦するプーリアの協同組合

イタリア南部プーリア。ここを拠点とするカンティーネ・リッツァーノは1959年創業の協同組合だ。400名の組合員からなり、500haの畑を所有、プリミティーヴォ、ネグロ・アマーロなど在来品種を中心に年間80万本を生産する。数年前からブランド刷新を重ね、ヨーロッパやアジアへの輸出マーケットを着実に拡大中だ。

ジュゼッペ・ゴネッラ氏。

「私たちは65年間、農家との関係を大切にしながら発展してきた。おかげさまで魅力的な値段でありながら質の良いワインを造ると評価をいただいている。将来の販売目標は300万本」と、5月に来日した販売責任者ジュゼッペ・ゴネッラ氏は意気込みを見せた。

生産するワインはDOCGプリミティーヴォ・ディ・マンドゥーリア、DOCリッツァーノ、IGPサレントなど。DOCリッツァーノの生産は同社が90%を占めている。ゴネッラ氏来日の折、南青山のレストラン「アクアパッツァ」で開催されたプレゼンテーション・ディナーでは、5種のアイテムが紹介された。いずれも日本未輸入。

 

“Baylon175 Bianco” Puglia IGP Frizzante

創業者の名を冠した「カンティーナ・ルッジェーリ」のブランドでリリースしている、シャルドネとマルヴァジア・ビアンカのフリッツァンテ。9月最終週に収穫、少し早摘みをしたブドウをステンレスタンクで発酵。さわやかな白桃や洋梨の果実味が心地よい。

 

“Macchia” Bianco Lizzano DOP 2023

マッキアは同社の主力ブランド。白、赤、ロゼの5種を造っている。以前は黒地に丸いマッキア(ワインの跡)が残るラベルだったが、2023年からラベルを大幅にリニューアルした。この白はシャルドネとトレッビアーノ。リッツァーノDOPの畑があるのは海から50mほどの地点で、白ブドウ品種は砂地に植えられているという。「シャルドネがさわやかな味をもたらし、トレッビアーノがボディと安定感、うま味をもたらす」とゴネッラ氏。

試飲すると真っ直ぐな酸が印象的。さわやかなグレープフルーツの香りとともに、厚みも感じられる。プーリアでは生魚をよく食べるので、このワインも酸をしっかりめに造っているという。ホワイトアスパラガスのソテーと合わせたが、天ぷらなど和食とも相性が良さそうだ。

 

“Macchia” Malvasia Nera Lizzano DOP 2020

この赤はマルヴァジア・ネーラ100%。ほとんどプーリアでしか栽培されていない在来品種。発酵後、オーク大樽で熟成する。熟した黒い果実に土のニュアンスも。酸が伸びやかでエレガント。合わせた料理も重すぎず、仔羊肉を煮込んだラグーソースのパスタと。

 

“Manorossa” Negroamaro Lizzano DOP2019

ラベルは「農家の手を表している」という、上級キュヴェでベストセラー。ネグロ・アマーロ100%、9月後半に収穫したブドウを12〜15日間マセレーション、3か月ステンレスタンク、6か月500ℓの大樽で熟成。果実味が非常に豊かで、飲み口はエレガント。収量は一本あたり一房まで制限。

なおリッツァーノDOPでは、黒ブドウ品種は白ブドウ品種よりも内陸側にあり、樹齢50〜80年の古木も残っている。白は海、黒は陸。その理由についてゴネッラ氏は次のように解説した。

「もともと内陸にも白ブドウ品種はあった。その後、白ブドウを黒ブドウに植え替えた経緯がある。かつて北イタリアで赤ワインの生産用に、南イタリアのバルクワインが必要とされたからだ。比較すると、陸側の方がブドウの収量は少なく、果実味が豊かになる」。

 

“Mandoro” Primitivo di Manduria Dolce Naturale DOCG 2022

プリミティーヴォの甘口ワイン。プリミティーヴォは通常8月初旬に収穫するが、それを1か月以上遅らせて、樹上で乾燥、9月下旬に収穫。ティラミスやアーモンド菓子など、食後のデザートの時間に。

 

N. Miyata

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