ルイ・ロデレール Louis Roedererの真髄を唎く ①ヴァン・クレール編

4月半ばにシャンパーニュを訪問した。本誌ウォンズ6月号の特集の取材が目的だった。ルイ・ロデレールの記事は既に掲載したが、誌面に書ききれなかった内容をこちらでお伝えすることにする。ヴァン・クレールとリザーヴワインの試飲機会に恵まれたからだ。

核となる部分を試しながら、それぞれの解説を聞いた。これらを駆使し、ひとつの形を生み出す醸造責任者を務めるジャン・バティスト・レカイヨンとそのチームへの尊敬の念が増したのは言うまでもない。

 

<ヴァン・クレール試飲にみる精緻>

透明なボトルに入った少しピンクがかった液体が、オーヴィレールとアイ、ヴェルズネイのピノ・ノワール、そしてリリー・ラ・モンターニュのムニエ。白い2本が、メニル・シュール・オジェとアヴィーズのシャルドネだった。ムニエ以外は自社畑の葡萄を醸したものだ。

いずれも2015年に収穫された葡萄で造られたワインで、これからブレンドされたり、リザーヴワインとして取り置かれたり、様々な使命を得てしばらくルイ・ロデレールの地下セラーでの眠りにつく。

「うちでは、ピノ・ノワールのほうが繊細で精緻な性質で、成熟を待ってから収穫するシャルドネのほうが優しくまろやかなので、シャルドネのほうを後で試飲する」と、レカイヨン。早速ピノ・ノワールから味見を始めた。

 

*オーヴィレール Blanche Borneブランシュ・ボルヌ区画/ピノ・ノワール

ディズィとオーヴィレールの間に位置し、東向き斜面の区画。チョークに粘土混じりの土壌で、畝ごとにカバークロップを施している。比較的涼しいため、クラシックな年には厳格なワインになる。「普通のヴィンテージであれば、(あなたのような外部の人には)見せない区画だが、2015年は温かい年だったから」という前置きがあった。

「アロマの力があり、アタックがまろやかなのがわかると思う。クリーミーで甘ささえ感じられるが、フレッシュさも兼ね備えてとてもバランスがよい。ミラベルや洋梨などの黄色い果実の香りもする」。

この年はステンレスタンクで醗酵したものだった。洋梨やミラベルなどの果実の香りが華やかで、はっきりとした酸を感じるがクリーミーでなめらかな食感。そしてフレッシュ感が長く残った。

 

*アイ Goutt d’Or区画/ピノ・ノワール

7年前からバイオダイナミックを採用している、南向きで1950年代後半に植樹した古樹の区画。マッサール・セレクションを行っている場所だ。

常に熟度が高い区画で、2015年はヴァン・クレールの状態でもアルコール度数が12%もある。クリスタルに多く使う区画だという。

「ピュアなチョーク土壌が、塩味を与える。余韻が長く終わりがない。クリスタルに必要な3つの条件『フルーツ』、『エレガンス』、『インテンス』をすべて兼ね備えている」。

まだできあがったばかりではあるが、力のある香りで、純粋で豊かな果実風味が感じられ、エレガントで複雑性もあり、味わいも厚みがありテクスチャーがとてもなめらか。確かに非の打ち所がまったくなかった。

 

*リリー・ラ・モンターニュ /ムニエ

これは購入葡萄による。北向きの区画で、少し砂混じりの土壌。「酸は高いが熟しており、クリスピーさとエキゾチックな香りを生む。フレッシュで軽快なので、最初にキックを与える役割を果たしてくれる」。

少し涼しげな側面があり、スパイスや柑橘類の果皮のような香りで、生き生きとした爽やかさが感じられた。

 

*ヴェルズネイ Pisserenardピソルナー区画/ピノ・ノワール

バイオダイナミクスを採用している。丘の中腹にあるピュアなチョーク土壌。

「ヴェルズネイには強さと牡蠣の殻のような塩味がある」。ここも重要な区画のひとつだ。

木製醗酵槽で醸し2月まで置いていたもの。全体の30%にあたる北から東向き斜面の葡萄を木樽で醗酵させる。目的は、テクスチャーを与えるため。ステンレスタンクではコンパクトでタイトになりすぎるが、木樽は息を吹き込んでくれる。反対にアイなど南向き斜面は、フルーツのアロマを保つためにステンレスタンクで醗酵させる。

スモーキーでチェリーなどの赤い果実がし、とてもピノ・ノワールらしい香りで、芯の通った味わいだった。

(*メニル・シュール・オジェ Montmartinモンマルタン区画/シャルドネ、*アヴィーズ Pierre Vaudonピエール・ヴォードン区画/シャルドネ、<アロマティック・プロファイル> へ続く)

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