ルイ・ロデレール Louis Roedererの真髄を唎く ①ヴァン・クレール編

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*メニル・シュール・オジェ Montmartinモンマルタン区画/シャルドネ

バイオダイナミクスの畑。2015年に最も遅く収穫した区画。柑橘類や洋梨などの熟した果実の香りがし、塩味を感じるがなめらかなテクスチャーで、このままでも飲めそうな勢いだ。果実の熟度が高く、まろやかでリッチ。

「大手メゾンでここまでシャルドネが熟すのを待つところは他にないだろう。グロワーズであれば、アンセルム・セロスやロドルフ・ペテルスは待っているだろうが」。

 

*アヴィーズ Pierre Vaudonピエール・ヴォードン区画/シャルドネ

バイオダイナミクスの畑。エレガンスも筋肉も両方持ち合わせた区画。

「チョーキーな香りがする。アヴィーズは、いつもモンラッシェのようにエレガントで、焦点があり精緻だと思う。エネルギーがあり、オペラ歌手のようだ。シャルドネのパーフェクトな姿だと思っている」。

香りはまだ閉じているが、熟した果実の香りがし、とてもエレガントで生き生きしている。厚みや力強さ、勢いが感じられた。

 

<アロマティック・プロファイル>

収穫日の決定には、アロマの成熟が重要だと言っていた。どのようにして決めるのか尋ねると「味見をすればわかる」という。分析も可能だが。酸やテクスチャー、ピュアなアロマのバランスなど、総合的に判断する。経験値とセンスが必要な仕事だ。

90年代から新しいワイン造りが始まり様々な分析をするようになった。しかし、よりピュアなものを求めて全てをテイスティングによって決めるようにした。

「日照は葉に影響を及ぼし、雨は土壌に影響を及ぼす。葡萄は気候の濾過器のような存在で、気候を映し出すものだ。香りの強さやアロマティックな要素は太陽から、味わいのバランスは土からもたらされる。だからこそ、偉大な土壌が必要なのだ」という言葉が印象に残った。

 

ヴァン・クレールを試飲した後に、リザーヴワイン、そしてティラージュ前の2015年ベースのブリュット・プルミエの試飲もした。ルイ・ロデレールにとって、もちろんプレステージのクリスタルは代表作だ。しかし、ブリュット・プルミエがいかに「バランスを追究したクリエイション」であり看板であるのか、垣間見ることができた。

それぞれのメゾンにそれぞれのコンセプトが存在する。ジャン・バティスト・レカイヨンは、ルイ・ロデレールが守ってきた一貫性について「『スタイル』ではなく『ID』であり『独自性』だ」と付け加えた。フレッシュでエレガント、そして熟成可能性もある。そういう理想的なシャンパーニュが、ブリュット・プルミエの求める姿なのだ。(Y. Nagoshi)

リザーヴワイン編はこちら

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