- 2024-9-18
- Wine, Wines, シャンパーニュ Champagne, フランス France
写真:近藤氏を囲んで、7月に来日したシャンパーニュとアルザスの生産者たち。マスタークラスは近藤氏と生産者の対談形式で進んだ。
2024年7月4日、東京・港区の八芳園にて開催された「シャンパーニュ&アルザス地方 ワイン・スピリッツ試飲商談会」。レカングループのエグゼクティブソムリエ近藤佑哉氏を講師に迎えたマスタークラスでは、9名の生産者が選りすぐりの一品を紹介し、参加者はグラン・テスト地域の多彩な味わいを堪能した。「」は近藤氏のコメント。
シャンパーニュの4社は、それぞれ個性豊かな味わいを披露。
Champagne Jackowiak Rondeau CUVÉE TRADITION
生産者はモンターニュ・ド・ランスに拠点を置く3世代目で、優しい果実味の、まろやかなシャンパーニュを目指している。このキュヴェは残糖17g/ℓ。「赤リンゴやフルーツの凝縮感、ライラックの花の香り。泡は果実味に綺麗に溶け込んでいる。ほんのりと甘みを感じ、寿司との相性が良い」。
Champagne Casters Liébart CASTE D’OR
1857年創業のRMで、現当主は6世代目。拠点はヴァレ・ド・ラ・マルヌで、ピノ・ノワールに向いている。マロラクティック発酵をせず、最低3年は瓶内熟成させるこだわりを持つ。このキュヴェはムニエ80%、ピノ・ノワール20%。「のびやかな酸がストラクチャーを形成している。リンゴのタルト、甘いスパイス、シナモン、ブリオッシュの香り。ムニエは酸が穏やかな品種だと言われるが、このワインには素晴らしい酸がある」。
Champagne Alain Réaut MERCI NATURE 2015
コート・デ・バールでオーガニック&バイオダイナミック農法を30年以上実践し、チャレンジングで個性際立つ造り手。このキュヴェはピノ・ブランとピノ・グリのブレンド。「香りはゴールデンキウイ、アプリコット、カモミール。味わいは根菜の滋味深さを感じさせ、和食や中華などうま味のある料理と。果実の凝縮感と弾けるような酸がある」。
Champagne Jarry Héritage SPIRITUELLE
シャルリ・シュル・マルヌ、ベトン、エソワに畑を持ち、シャルドネを中心に生産している。このキュヴェはシャルドネ100%。「果実味の柔らかさ、太陽のミネラルを感じ、テロワールをしっかり表現している。緊張感のある酸にミネラルが溶け込んで、ブラン・ド・ブランのポテンシャルの高さを示している」。
アルザスの5社も、多様性を存分に表現した。
Cave de Ribeauvillé Riesling Grand Cru Osterberg 2019
1895年に発足したアルザスで最も古い協同組合で、現在は41の生産者が加盟する。2030年まで寝かせられる長期熟成のリースリング。「オイリーで上質なリースリングで、まだかたく、凝縮感がある。フレッシュな太い酸が全体を貫いて、ミネラル感の筒の中に果実味が詰まっている。天ぷらとの相性が非常に良い」。
Domaine Paul Buecher GOTTESTAL Pinot Gris 2020
17世紀から続くブドウ農家。グラン・クリュを含む30haの畑をもち、2008年からオーガニック農法を実践。結果、バランスの良い果実が収穫できるようになったという。このキュヴェはアルザス南端の区画のピノ・グリ。「ジャスミンやオレンジの花の香り、果実味はボリューム感があり、アフターにはコクがあり、飲み疲れしない。フードフレンドリーなワイン」。
Domaine Sainte Joie Pinot Noire 2019
平均樹齢30年の畑で、アルザスのすべてのAOC品種を栽培。オーガニックおよびバイオダイナミック農法を実践している。複雑な香りが魅力のピノ・ノワール。「ストロベリーやタイム、ナツメグ、マッシュルームの香りに、きめ細やかなタンニン。赤みの魚や鴨肉の梅煮にぴったり」。
Domaine Gérard Metz Grand Cru Zotznberg 2020
サステナブルでナチュラルなワイン造りを志向し、HVEレベル3およびTerra Vitis認証済。このキュヴェは100%シルヴァーナー。石灰質の泥灰土、南向きのグラン・クリュで、シルヴァーナーに向いているという。「ベルガモット、ダージリンなど芳香性のある華やかな香り。アタックからフィニッシュにかけてミネラル感があり、オリエンタル料理などと」。
Distillerie LEHMANN Blend Whisky C’est la vie
レマン蒸留所は、1850年創業、仏政府から無形文化財企業EPVに認定されたアルザス最古の蒸留所。1998年に初めてウイスキーを造り、フレンチウイスキーの先駆者となった。「オレンジマーマレード、キャラメルなどフルーツの要素が顕著なウイスキー。ライ麦のようなやさしい酸がある。フローラルでフルーティなので、ストレートでも楽しめる」。
午後からの試飲商談会では、さらに多くのアイテムが紹介され、約90名の業界関係者らが参加した。シャンパーニュの繊細さと力強さ、アルザスワインの複雑さと優雅さ、そしてスピリッツの個性。これらが一堂に介し、グラン・テストの豊かな世界を見せていた。
(N. Miyata)
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