サントリーは12月24日、「2025年国内酒類事業方針・ビール事業方針発表会」を都内で開き、鳥井信宏社長が国内酒類事業方針を、多田寅常務執行役員ビール本部長がビール事業方針を説明した。
サントリーの国内酒類事業の2024年売り上げ見込みは、酒類事業計で前年比約105%で、酒類市場全体の推移である推定101%を上回るものとなっている。内訳はビール類が前年並み、RTD105%、ウイスキー類112%、ワイン102%、ノンアル前年並み。
2025年の売り上げ計画は、酒類事業計で105%、うちビール類105%、RTD108%、ウイスキー類104%、ワイン前年並み、ノンアル114%に設定。
鳥井信宏社長は「サントリーの志として、創業の地、日本で需要創造を継続し、『国内酒類市場活性化』ならびに『持続的な事業成長』を実現する。またサントリーブランドを世界にも展開し、世界中のお客様に『お酒の価値』を大切に伝え届け、人々の生活に潤いを与える。2030年、国内酒類売上高1兆円を目指し、最も信頼され、愛される会社になる」と述べた。
2025年の戦略方針は、「事業成長を支えるものづくりの進化」、「持続的な事業成長を見据えた新たな挑戦」、「ビールへの飽くなき挑戦」の3つ。
鳥井社長は「事業成長を支えるものづくりの進化に向け、2023年~2025年で300億円規模の成長投資を行っている。サントリーのものづくり品質はウイスキーやワインで、海外で数々の賞を受賞している。美味品質の訴求強化、需要創造への挑戦を2025年も継続実施・強化していく」と説明した。
「持続的な事業成長を見据えた新たな挑戦」としては、①お客様ニーズに沿ったポートフォリオ強化②サステナビリティとしての酒類文化伝承③2025年大阪・関西万博に向けた取り組み――を推進。
ポートフォリオ強化では、ビール・スピリッツ・ワインの各本部からノンアルコール飲料担当を集めた統合組織『ノンアル部』を新設。既存ラインナップのリニューアル・ポートフォリオ再編を行い、1月から機能性表示食品「のんある酒場レモンサワー ノンアルコールプラス」、4月には新たな需要喚起新商品、秋にはお酒の本格感を追求したノンアル商品を発売する予定。
酒類文化伝承は、環境負荷軽減とともに、サントリーのサステナビリティ活動と位置づけ、ジャパニーズウイスキーの表示に関する基準に則した訴求活動、適正飲酒の大切さとお酒の魅力を伝える活動「ドリンクスマイル」を発信。
大阪・関西万博は、1970年に「生命(いのち)の水」でパビリオン出展したのに続き、2025年は「水と生きる」を掲げ水上ショーを出展。再生農業原料(麦芽・ホップ)を使用したビール「水空(すいくう)エール」や、CO2削減びんを使った日本ワインの発売、また会場内など限定で「ワールドKANPAIビール」を発売し、それに対する感想を集めて嗜好を集約して新たなビールを開発する、お客様参加型のビールを9月に発売する。
「ビールへの飽くなき挑戦」については多田寅本部長が、「中期的なビール類(缶)の市場予測は、2026年の酒税改正によりビールが市場の5割を占めるようになるが、消費の二極化や健康意識の高まりが継続することにより、エコノミー(旧酒税区分での発泡酒+新ジャンル)も1億ケース超は残る。サントリーではビールとエコノミーの両輪で活動を強化。ハレの日にふさわしい“プレミアム”、新“スタンダード”、家飲みにふさわしい“エコノミー”、おいしさと機能の“健康”系で、お客様との絆を深めていく」と話した。
2025年ビール事業の販売計画は、ビール類計で前年比101%の5,860万ケース(大瓶換算)。ビール計が101%の2,470万ケース、金麦ブランドが102%の3,120万ケース。またノンアルコールビールは104%の870万ケース。
プレミアムビール「ザ・プレミアム・モルツ」「同ジャパニーズエール 香るエール」「同マスターズドリーム」は12月下旬にリニューアル。ミシュランガイドとコラボした品質訴求PR活動を展開する。
スタンダードビール「サントリー生ビール」は2027年に1,000万ケースまで成長し定番ブランドとしてのポジション確立を図るべく、12月下旬から順次デザイン・中味をリニューアル。販売目標を前年比109%の700万ケースに置く。
エコノミーでは、「金麦」ブランドで、“日常的に家で飲むのに一番ふさわしいビール類”のポジション確立を目指し、定番3種は12月出荷分からロゴデザインを大幅刷新。左右非対称の目を引くデザインを採用した。これまで限定発売していた「金麦サワー」は、「金麦<晩酌サワー>」のブランド名で4月8日から発売。「ビール類・RTD購入層のなかで併飲層は今や3/4を占める。新たな食中酒として提案し、『金麦』第4の柱に育成する」(多田本部長)。
健康系では「パーフェクトサントリービール」、「金麦<糖質75%オフ>」「オールフリー」で、美味しさと機能を兼ね備えた独自価値の提案を行う。
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