1月27日から29日まで、南フランスのモンペリエでMillésime BIO 2025が開催される。それを前に、記者会見を開き、シュッド・ヴァン・ビオのニコラ・リシャルム会長とミレジーム・ビオ運営委員長のジャンヌ・ファーブルさんがオーガニックワインをめぐる現状を説明した。
オーガニックワインの世界最大の商談見本市として知られるMillésime BIOは、1993年の創設以来、着実な発展を遂げてきた。2025年の開催には、世界16カ国から1,500の出展者が参加し、来場者は50カ国から11,000人を超える見込みである。出展者の内訳は、フランス国内が80%、その他ヨーロッパが16%、北米とアジアで4%となっている。
「オーガニックワインは、従来型のワインと比べて、より明るい未来が期待でき」とリシャルム会長は語る。実際、同見本市が実施した出展者アンケートによると、今後10年間でのオーガニックワインの消費に関して、40%が増加すると予測している。
特筆すべきは、オーガニックワインの販売経路の多様性である。2023年の販売実績は、輸出が37.8%と最大のシェアを占め、直販が31.3%、専門酒販店が11.4%と続く。大手流通チェーンの比率は8.2%と比較的低く、生産者と消費者の直接的なつながりを重視する、オーガニックワインならではの特徴が表れている。
フランス国内のオーガニックワイン生産は、2023年に1.6%増加し、約17万ヘクタールに達した。特に、オクシタニー地域圏は、フランス国内のオーガニックワイン用ブドウ畑の34.4%を占める最大の産地となっている。同地域には、51のAOP(原産地呼称統制)と36のIGP(地理的表示保護)が存在している。
オーガニックワインへの転換を決断した生産者の動機について興味深い調査結果も示された。最も多かった理由は「健康への配慮」(86%)で、次いで「生物多様性の保護」(84%)、「自然資源の保全」(78.5%)と続く。経済的な動機は二次的なものであったが、結果として46%の生産者が、オーガニック転換は経営にプラスの影響をもたらしたと評価している。
2025年の見本市では、新たな取り組みとして、耐病性品種から造られたワインの専用試飲スペースが設けられる。また、ビオディナミ農法の認証機関であるBiodyvinに加盟する120の生産者による特別展示も予定されている。
また、見本市期間中に、経済学者のジャン=マリー・カルドバ氏(ボルドー大学)、社会学者のゲナエル・ゴー氏、アジャンス・ビオのロール・ヴェルドー氏を招いて、オーガニックワイン消費の未来をテーマとした公開討論会も開催される。
見本市終了後の2月1日から15日までは、モンペリエ市内でLa Fête du Vin Bio(オーガニックワインの祭典)が開催され、レストランやワインバー、ワインショップ、オーガニック食品店など、市内の様々な会場でオーガニックワインを楽しむイベントが展開される。
このように、Millésime BIO 2025は、単なる商談の場を超えて、オーガニックワインの価値と可能性を広く発信する総合的なプラットフォームとしての役割を果たしている。持続可能な農業への関心が高まる中、オーガニックワインの市場は着実な成長を続けており、本見本市の重要性は今後さらに増していくことが予想される。
(Toshio Matsuura / Paris)
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